ポール・オースターにあやかって赤いノートブックを買った。そしてそこに来年と言わず今日から、新しい作品についてのメモを書き始めた。以前に書いたことがある自分の中の隠された要素、「ヘンタイ」な部分について書いてみたいと思ったのだ。過去に『ノルウェイの森』の登場人物たちの会話や彼らが織り成す思索に惹かれたこと、あるいは過去に「オタク」と呼ばれる雑誌を読み耽ったこと、宮崎勤事件にショックを受けて自分の中でくすぶるねじれた願望に思いを馳せたこと、といったことについて書ければと思う。
高校生の頃のことを思い出した。悪夢のような時期だった。誰とも打ち解けて会話をすることもできず、1人で吉本ばななや島田雅彦の本を読み耽って……自分は世界のすべてを見渡して分析できると思い込んでいたのを思い出した。まあ、若気の至りというやつだ。そういったこともこれから書く作品の中に書ければいいと思った。ああ、あの頃は作家になることしか考えられなかった。たくさんの本を読んだっけ。ひとかどの人物になりたいと思って……今思えばそれはバカな思い込みというものだった。もっと私は他に学ばないといけないものがあった。
信頼できる方とLINEでメッセージをやり取りした。その方、そしてその方の娘さんと出会い、そこからいろいろなことが始まったのだった。恋をしたこと、英語を本格的に学び始めたこと、などなど。それまで私はずっと、恋とは幻想の産物だと思おうとしていたのだった。フィクションの話なのだと。だが、私は現に電流に打たれたような経験をして、自分自身を再構築させられざるをえなくなった。それはでも、苦しかったけれど得難い経験でもあった。ああ、恋は人を育てる、と今なら信じられる。恋をして、そこから私は大人への道のりを歩いていったのだと。
今日、仕事の休憩時間に「この時間をどう過ごすべきだろう」と考えた。TOEICのための勉強を行うべきか……自分の英語力に関して問い始めてしまう。テストのスコアから自分の至らないところを見極めて、さらに磨きをかけることは無駄ではないだろう。自分の英語力はどこまで向上したのだろうか。私はただ、好きだから英語を学ぶことができてきた。これからも、才能や情熱以前の問題として「好きだから」英語を学び続ける。そして、より多くの人に自分の書いたものを届けられたらいいなと思う。自分は結局そういう人間なのだ。これが「性」なのだろう。