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2021/12/30

BGM: Little Creatures "Giants Are Dying"

今日は映画を2本観た。1本目は昨日日記に書いたドキュメンタリー映画シュガーマン 奇跡に愛された男』だ。アメリカで全然パッとしないシンガー・ソングライターだったロドリゲスという男の音楽は、だがふとしたことから南アフリカの人々の心を掴み大ヒットすることになる。なぜ南アフリカの人々はロドリゲスの音楽に夢中になったのか、そしてそのロドリゲスは一体どこへ行ってしまったのか。事実は小説よりも奇なり、というがこの映画を観ると本当に数奇な運命というものもあるのだな、と思わされる。今回も観ていて涙が出てしまった。

ロドリゲスという人の佇まいを見ていると、どんな状況にあっても恬淡としている人の強さを感じさせられる。彼にも浮き沈みはあっただろう。音楽業界から撤退せざるをえず、不本意だったかもしれない肉体労働に身をやつして日々を過ごす。それでも腐らずに目の前の仕事に取り組み、己の道を歩み続けた。この映画を観て、私も腐らないで生き続けようと思わされてきた。もっとも私にはまだ俗欲があるので、どこかで「私の書くものが誰かの目に留まって話題にならないかな」と思っていたりもする。私はそこまで達観できていない。

2本目は是枝裕和監督『誰も知らない』だ。是枝監督の映画は好きで観てきているのだけれど、この映画は久しぶりに観たのだけれど唸らされた。悲惨な題材を扱っていながら、その語り口において丁寧さと節度を保ち続け、扇情的になることなくこちらに問いかけ続けている。だからこそ、この映画は一筋縄ではいかない重いメッセージを投げかける。私自身システムから外れてニートとして生きた時期があるので、この映画が映し出す「システムから外れてしまった人々」の悲惨な暮らしの苦楽(そう、「楽」もまたありえるから厄介だ)について考えてしまう。

今日はそんな感じで映画を観て過ごしてしまった。40歳をすぎて始めた映画鑑賞なのでそんなに日は経っておらず、未だに右も左も分からないままだ。だが、宮台真司的に言えば世界というものは広く、その豊穣な世界から伝えられるメッセージとして映画を観ているという実感がある。つまり、映画を観ればどこにでも行ける。年に200本観るといった熱心なシネフィルではないにせよ私は映画を観てきて多くのことを学んだ。来年はどんな年になるだろう。来年もこんな感じで映画や小説について書ければと思う。だが、それはどこまで他人に伝わっているだろうか。村上春樹は「文明とは伝達である」と喝破したのだが……。

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