跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/12/07

仕事のことでずっと行き詰まりを感じている。これ以上仕事を続けるべきかどうか……続けるべきだとしたら一体なんのために。こんな感覚を私は前にも感じたことがある。10年前だっただろうか。前の部署で私は強烈な被害妄想に陥った。誰もが私の悪口を言っており、使えない奴と見做されているようで……実際に酷いイビリに悩まされ、どうすることもできず酒ばかりが進んでしまった。それで、とうとう精神的に破綻して薬を一気飲みして倒れたのだった。ここまで頑張ったことも、これから待っている未来も、どうでもいいことのように思えたのだ。今の苦しみを解消できる一番合理的な手段はオーバードーズだった。

気がついたら病院のベッドの上だった。親が救急車を呼んだのだ。私は5日間入院し、3ヶ月ほど自宅待機の状態に陥った。その間やっていたことと言えば、毎日ひたすら酒を呑んだ。もう、こんなどうあがいても絶望しかない人生をなぜ生きなければならないのかわからず、酒で死ねたら本望だと思い毎日酒を呑んだ……読者の中には「なら環境を変えればいい。仕事を変えるなり、住居を変えるなり方法はあるはずだ」と思われるかもしれない。それはもちろんその通りなのだ。けれど、私にはそうした未来を切り開くための努力をする余力など残っていなかったのだった。もう、なにもかもがどん詰まりに陥っていた。

3ヶ月の自宅待機の時期に、私は車谷長吉が編んだ『文士の意地』というアンソロジーを読んだ。このアンソロジーは掛け値なしに車谷長吉が誇るべき素晴らしい仕事だと思う。文学の中に現れる人生の様々な側面、様々な生き様を見て世界の広さ、人生の豊かさというものに触れたように思った。なにも、新卒で入社し右肩上がりのキャリアを歩むだけが人生ではない。放浪を繰り返した森敦や、それこそ夢破れて世捨て人のように生きていた車谷長吉のような人が居る。私も私の人生の中で希望や真実を見い出せればいいのだ、と思った。

その時と比べれば、今は理解者が居る。私のために泣いてくれる人、私のために知恵を絞ってくれる人が居る。だが、一方でもう私は限界かもしれないとも思っている。どうしたらいいのかわからず途方に暮れている。また『文士の意地』を読み返すべき時が来たのかもしれない。どんな時も、私は書物と音楽に救われてきた。十代の頃、世界に絶望し憎しみを燃やしていた頃。就職して使えない奴とバカにされて酒を浴びるように呑んでいた頃。そして今。どうしようもない時は、とりあえず本を読んてみて慰めを得てそして力をつけた方がいいのかもしれない。