跳舞猫日録

Life goes on brah!

2023/11/03 BGM: Pizzicato Five - 誘惑について

今週のお題「最近読んでるもの」

今日は遅番だった。今朝、読みかけていた村上龍の『MISSING』を読み終えた。龍は確かに、完全に自分自身を破壊しようと試みていると読んだ。この本をエンターテイメントの達成と褒めちぎる気にはならない。少なくとも、この『MISSING』よりもすぐれた達成を示したものを彼はたくさん書いている。だけど、肖像画ないしは自伝的フィクションとして彼はこの本ですばらしい達成を示したとも言えると思ったのだ。とても興味深い、そして果敢な1冊だ。

この本で、主人公(おそらく村上龍自身)は問い続けている。彼とは誰かについて。記憶をまさぐりながら……子どもの頃や青春時代、デビューを振り返って。でもそこには甘美な自己愛のタッチはない。苦い、マゾヒスティックでさえある試みだ。彼は真面目な、勇気のある強い人だと思った。

彼はこの小説の中で彼自身と対話を繰り返す。彼は質問を執拗に続けることで、自分自身の甘美な自己愛を解体する。だからメインプロットはどこかに行ってしまう。ダイアローグ(自己内対話)だけが繰り返される。ぼく自身、これを読んでいてぼくの真実を小説にしてもいいのだと教わったように思う。それが彼の真の底力であり潜在力なのだろう。

『MISSING』を読み終え、ぼくは彼のマスターピース(傑作)である『69』を読み始めた。ぼく自身の青春時代を振り返ってしまう。ぼくの日々はこんな風ではなかったけれど、彼のセンシティブで甘い筆致からノスタルジア(懐かしさ)を感じた。そして、クリエィティブというか何かを作り出すことの素晴らしさ、そしてそのための活動を行う勇気をもらったとも思った。「見慣れて退屈に感じる景色を、あなたなら変えられる」……『69』のこのメッセージがぼくの中にいま生きている。

ぼくは仕事についての小説を書きたいと思っている。でもそれは繊細で、危険な内容になる。仕事について細部まで描きたい。たとえば、ぼくの同僚の方の体型の美しさについて。そして彼女たちの優しさについて(ああ、マゾヒスティックな響きだ)。すでにDiscordでなぐり書きとして書き始めたのだけれど、読みたい方はおられますか。