跳舞猫日録

Life goes on brah!

2023/09/26 BGM: Deacon Blue - Dignity

朝、日本人の友だちとDiscordでチャットをしていて自分がグループホーム(具体的にはマンションの一室)に住んでいることを話し、そこから「マンションでの生活」について思いが及んだ。ふと、昔愛読した保坂和志という小説家の小説『プレーンソング』のことが思い出された。この小説では主人公の購入したマンションの一室に主人公の友だちやその友だちが転がり込んで、一種の「共同生活」を始める(つまりあずまきよひこよつばと!』に似たムードの話だ)。そんな「まったりとした」生活に憧れたことを思い出し、またこの作品を読み返したくなった。そこから別の友だち(ブラジルやベトナムに住む友だち)が話題に参加してくれて、彼らの理想のライフスタイルについて日本語で語ってくれる……そんなコミュニケーションを楽しみながら、ぼくは「自分はこの町と海外をつなぐ『橋』のような人間になりたい」と思っていたことを思い出した。いや、ぼくの英語力はまだまだで特に具体的に口を動かして話すところではまだ「モゴモゴ……」となってしまうのだけれど、こればかりは「鍛える」しかないのだった。ともあれ、楽しい時間を過ごせて実にありがたかった。

ところで今日、Spotifyで面白いPodcastを見つけた。その中で「なぜ日本人は長年英語を学んでいるのにしゃべれるようにならないのか」といった話題について話が繰り広げられていた。これはぼくは「永遠のテーマ」であると思う。ぼく自身も中学校・高校の6年間で英語の基礎を学び、大学では英文学(主にアメリカ文学)さえ学びもしたのだけれどそれでもいざ英語を話そうとするとぜんぜん話せなくなった。頭の中が真っ白になってしまい、「アイキャントスピークイングリッシュ」となってしまっていたのだった。Podcastではこれは「頭の中に『言いたいこと』がなかったから」「英語を学習・丸覚えしていたから」といったことが原因として片付けられていた。なかなか面白い意見だと思う。異論を差し挟むのは簡単なのだけれど、その前に「では、なぜぼくは『いま』しゃべれているのか」について話すのもいいかなと思った。過去、そんな頭の中が真っ白になりフリーズしてしまうという情けない経験を経て、いまはぼくは英語関係のZOOMでのミーティングやclubhouseやリアルの英会話教室に通うようになり、「曲がりなりにも」英語をしゃべれるようになれていると思う。もちろんその英語はChoppy(途切れ途切れ)のものだろうと思うのだけれど、ともかくも前ほど悲惨なことはなくなってきたと思っている。

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なぜしゃべれるようになれたか……それは1つには、「日本語でしゃべる練習」を積み重ねてきたからだろうと思う。ぼくは大真面目に言っている。「たわけたことを言うな。日本語(というか母国語)でしゃべるなんてわけもないことだろう」と言われるかもしれない。でも、もう少し話をさせてもらうとぼくはいま毎週水曜日断酒会に行き、そこでアルコール依存症の治療のために体験談を「語る」訓練をさせてもらっている。ここでは書けないことも含めて語ること、いま風の言い方をすれば「吐き出す」こと。そうすることを繰り返しているうちに、ぼくは脳の中であれこれ考えてしゃべる前に反射神経を駆使して脊髄反射的に話すことができるようになった。話しているうちに言葉が言葉を呼び、いったい何を話したらいいのかわかるようになり、話す内容にも自ずと自信を持てるようになったとも言える。そうして自分の話すこと、引いては自分自身の存在自体に自信を持てるようになったことがそのまま「自分の英語」の自信にもつながってきたのだろうと思う。話す内容が日本語から英語になっただけなので、話す意見そのものはぜんぜん変わっていない。英語で話す時だってぼくは「アイアムアルコホリック……」なんてことを堂々と主張しているのが実態だ。

そんなふうに実地で恥をかき、「体を張って」「破れかぶれで」話す訓練を積んだことが自分を変えたのかな、と思う。別の言い方で言えば「話す」ことは(大げさな言葉を意図的に敢えて用いれば)スポーツや格闘技にも似て、「汗をかく」ことで収穫を得られるのだと思う。そんなことがわかってから、つまり話せるコツをつかんでからぼくは「ならば、もっと『汗をかく』ことで自分は話せるようになれるのかもしれない」と思い始めて、積極的にミーティングに参加して「汗をかく」ことを始めた。そしていまに至る。そんな過去の来歴を思い出し、先にも書いたけれど「暗記して、『体で』英語を覚えることは決して悪いことではないんじゃないか」などと疑問を抱きつつも(でも、だからといってぼくはXにありがちな「お前は間違っているから『100%悪い』」なんて議論に持っていくつもりはサラサラない)そのPodcastを聞かせてもらった。ところで、今度10月からぼくはまた市の英会話教室に参加することが決まった(グループホームの施設長の許可が出たのだ)。また英語学習者の仲間と会えるのかなと思うといまから楽しみだ。ハロウィンやクリスマスについて学べることを期待したい。