跳舞猫日録

Life goes on brah!

2023/03/21 BGM: UNICORN - デーゲーム

ここ最近読書がはかどらず、今日も池澤夏樹マシアス・ギリの失脚』を読もうと思っていたのだけれどぜんぜん読めなかった。読書は仕事ではないので自然体で読もうと思っているのだけれど、これは自分が歳を取ったことと関係しているのかなとも思う。若い頃、文字通り寝食を忘れて村上春樹に没頭した時期を思い出す。あまり「若い頃はよかった」的なことは言いたくないのだけれど、それでもあの読書はあの時期、体力と気力が有り余っていた時期だからできたことだったのかと思う。若い頃は読書なんかしないでもっと外向的な活動(旅行するとか留学するとか)をしたらよかったのかもしれないけれど。まあ、何はともあれこれからますますパワーダウンしていくステージに入ることになる。諦めて1冊の本をじっくりスローリーディングするべきかもしれない。本を切り替えてジャック・ケルアックオン・ザ・ロード』に入ろうか。

仕事中だったのでWBCの様子は皆目わからず、昼休みに結果を知る。メキシコ戦を制したとのこと。以前にここでWBCの盛り上がりに水を差すことを書いてしまったが、自分の不明を恥じなければならないと思った。だが、それでも(むろん、私の交際している友だちの間だけの現象であり全世界的なトレンドではありえないことを断りつつ書くのだけれど)私の身の回りではWBCのことはそんなに盛り上がっていない。この落差はどこから来るのだろうかとも思う。私自身野球のことはぜんぜんわからないのだけど、ともあれこれで「感動をありがとう」的なムーブメントが起こったらイヤだなあ、と思う。国民的な「感動をありがとう」ムーブメントとはつまりナショナリズムの勃興だと思うので、もちろんナショナリズムが一概に悪とは言わないものの私は端的に「ついていけない」と思ってしまうのだった。まあ、変人の戯言である。

友だちに1人、自分の1日の予定をきちんと決めてそれに基づいて行動する方がいる。私とは真逆で、私は予定をぜんぜん決めずに寝たい時には昼でも夜でもグーグー寝て読みたい時はガンガン読むという時間の過ごし方を全うしている。なので見習わなければならないとある時期思ったこともあったのだけれど、私は予定を決めてしまったらかえってガチガチに感じてしまって動けなくなるのではないかと恐れてしまう。過去に「1日1冊本を読む」と決めて過ごそうとして、もちろんできるわけがなくて挫折感を抱いてしまったことがあったのだ(若かったなあ、と思う)。ただ、ここ最近映画を観ていなかったのでやはり「せめて週に2本は映画を観たい」と考え始めたりもしていて、それで悩んでいる。手探りで、オードリー・タンに倣って新しいアプリを試すように日々の習慣を身に着けてみるべきなのかもしれない。

読みたい本を読みたいだけ読む、という暮らし。裏返せば必読書を読まない暮らしとも言える。前にも何度も書いたが、過去に「まだ読んでないのか」とさんざん絞られたことがあって、自分でもどうして40を過ぎてもドストエフスキーを読む気にならないのか禿げ上がるほど悩んだ時期があった。その経験から言えば、結局出会うべき時に出会うべき本とは出会うものだと余裕を持って構える必要があるのではないかとも思う。仮に出会えなかったとしてもそれはそれでしょうがない、とも。大江健三郎のようなマーベラスな読書家がストイックにディケンズスピノザを腰を据えて読んでいたのを思うと、むしろ私はこのレベルであったとしても「読みすぎ」ているのかもしれない。あるいは、結局私は逆立ちしたってウンベルト・エーコにはなれるわけがないのだから白旗を揚げて私なりの読書道を全うするべきなのかなあ、とも思った。ともあれ池澤夏樹『世界文学全集』は齧っていきたいと思い始めている。