跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/08/29

BGM: キセル "ハナレバナレ"

実を言うと、事情があって抗原検査を受けた。喉に違和感を感じたからだ。結果は陰性だったので身体の方は問題がないとのことだったが、精神的にスッキリしないものを感じた。私が過敏に騒ぎすぎているのだろうか、と……いつもエラそうに日記を書いているけれど、こういうところで私は本当に臆病というか「骨なしチキン」な事実が露呈する。恥ずかしい……ただ、では自覚症状があるまま、もしかしたら感染者かもしれないのにいつもどおりに振る舞っていたとしたら? それで大人として責任を取れるのかというと、そんなことは到底無理なのである。だからどっちに転んでも恥をかくのなら私一人が恥をかいて済む方を選ぶしかない。まったく!

TwitterでAIに関する議論が喧しい。私はもちろんド素人としての知識しか持っていないが、AIが様々な過去の作品を咀嚼してオリジナル作品を生み出せるようになったら「面白い」作品は作れると思う。もしかするとミリオンセラーも夢ではないかもしれない。だが、マニアックというか私のようなひねくれ者に受ける「刺さる」作品は難しいのではないかと思う。つまり、クリエイターの思い入れや愛情がてんこ盛りになった作品だ。私がそういう作品として思いつくのは『新世紀エヴァンゲリオン』だ(むろんこの作品は社会現象まで巻き起こしたことも忘れてはならないが)。果たしてこのような作品を作れるか。そう考えると人間の作品の可能性に賭けてみたくなる。

三木那由他『言語を哲学する』を読む。豊富な漫画や映画、小説の事例を引いて私たちが行っている「会話」を丁寧に分析し、そこからどんなメカニズムが行われているか説いた1冊だ。二者間で行われるオーソドックスな「対話」のみならず、ひとり言(「自己内対話」や、墓前でつい口にしてしまうような「死者との対話」など)までが俎上に載せられる。当たり前の事実として、会話は言葉で行われる。言葉が積み重なることで文脈が生まれ、その文脈が私たちの行動や感情を左右する。そうした繊細な力学(私なりに、この上なく無粋な言葉を使えば「政治性」)を紐解いた本であり、始終リアルの「会話」においてトンチンカンな姿を晒す私としては参考になるかもしれない、と思った。

AIについてもう少し書くと、AIは多分「情念」というものを表現するのが難しいのではないかと思う。人間が、執拗に思い入れたっぷりに表現する事柄と言うべきか。眠っている時に見る「夢」がそういうものではないかと思う。AIは夏目漱石夢十夜』を書けるだろうか? もちろん試してみないとわからないが、私はAIが書く『夢十夜』はただ支離滅裂なイメージをツギハギしただけのものとなるのではないかと思う。でも、考えようによってはそのツギハギが斬新な芸術となる可能性もありうる。コラージュとして受け取られる、というか(ダダイズムの芸術がそういうものではないかと理解しているのだが、もちろん私はそういう分野のことに関しても実にお粗末な知識しか持っていないのだった)。