BGM: The Style Council "My Ever Changing Moods"
ジョン・R・サール『MiND』をようやく読み終える。非常に面白い本だった。心と脳の問題について基礎的な話題が抑えられており、この本から「私とはなにか」「心とはなにか」といった問いに進むことができる。もちろん一読して全てをわかったなんて言えるわけがないので再読が必要なのだが、翻訳も非常に質がよく堪能することができた。その後図書館に行き、またアントニオ・ダマシオの本などを借りる。もちろん本に書いていることをコピーするのではなく自分なりに考えないといけない(とはいえ、虚心に学ぶことが否定されるべきでもないのだが)。
山内志朗『わからないまま考える』を読む。スピノザやベンヤミンなどの多彩な哲学者を縦横無尽に引きながら展開されるエッセイで、読んでいて楽しい。『エヴァ』や『天気の子』などに言及されているが、そうしたポップカルチャーの引用に見合わず筆致は誠実/堅実。人生や世界といった「わからない」ものについて「わからないまま考える」姿勢の重要さを教えてくれる。私なりの哲学とは、心の中にわだかまっているものをそのまま外に出し考え続けることではないか? そんなことを考えさせてくれた。私なりに小説を書くヒントになるかもしれない。
夜、断酒会に参加した。雪が降るかどうか不安だったのだけれど降らなかったので安心した。タイムカードのミスについて話す。断酒会で褒められ、受け容れられても翌日会社に行くとまた鼻つまみ者扱いされてしまうので、この待遇のギャップに頭がおかしくなりそうになる。今日は参加者の方の「依存症があったから、この病があったから幸せを感じることができる」という言葉が印象に残った。私もアルコール依存症なのでもうお酒は呑めない。悲しいけれど、でもこの幸せはその悲しみがあってこそなのだと思った。トレードオフ関係、というのだろうか。
12月に入った。もう今年も終わる。今年の収穫とはなんだっただろう。遠い過去や未来を見渡すのが苦手なので、半年前のことですら記憶があやふやなのが情けない。片岡義男の本にのめり込んだり、こうして脳科学の本を読み始めたり……就業支援員の制度を利用したいと思い始めたのも、たまたまインターネットで調べて見つけた市内の発達障害関連の施設に突撃訪問してのことだった。いつもいきあたりばったりで生きている。そんな生き方は今後も続くのだろう。R.E.M.が歌うように「甘美さがあとになっても残る」のだ。