跳舞猫日録

Life goes on brah!

2023/05/21 BGM: The Smiths - The Queen is Dead

今日は休みだった。朝、ZOOMを立ち上げ発達障害を考えるミーティングに参加する。毎月一度開催されるこのミーティングに参加するようになって、もう7年が経つ。もうそんなにもなるのか、と驚き……思えば7年前、「発達障害についてミーティングをしますから、参加しませんか」と誘われたのがきっかけだった。そこから「物語」が始まった。私は「自分が職場で働いていて困ってきたことや、子どもの頃から苦しかったことを伝えられたらいいな」と軽いノリで考えていたので、そのミーティングでの出会いを通して自分がジョブコーチという制度を利用できるようになったりこの町の福祉制度を(もちろん、あくまで「サラッと」であれ)変えられたりできたりということは想像/予想もできなかったのだった。そしてそうして、外側にある制度を変えただけではなく私は私自身の内側をも変えたと自負する。ミーティングの参加経験を通して私はここまで自分自身を成長させた。交流を通して英語学習に興味を持ち、こうして英語で発信して自分の英語力と確実な人間関係/つながりを充実させてきた。人生、まさに何が起こるかわからない。つくづく自分の幸運と幸福に感謝してしまう。

今日のミーティングを通して、いつもながら参加者の方の率直で切実なお話を聞かせてもらうことができた。どのようにして恋人や家族と理想的な関係を築けばいいかに話が及び、そこから「ルール作りが大事」「求めすぎない」ことが大切ではないかという意見が出た。私自身のことを書くと、実家に住んでいた頃はまさに両親と険悪な仲に陥り、地獄の日々を過ごしてヘビードリンカーとして腐りかけていたのを思い出せる。ひとつ屋根の下に過ごしていながら満足に口も利かず……そこから私がグループホームに住まわせてもらうようになり、両親と離れて暮らすようになって人間関係の風通しがよくなって互いを客観的に見られるようになったのだった。私が酒を辞めてしまったことも大きいかもしれない。確かに、大切な人だからこそ「もっと!」とコミュニケーションを求めてしまう心理はわかる。だけど、信頼する方だからこそ場合によっては相手の裁量に委ねる姿勢というか相手を「放す」姿勢も大事なのではないかと思った。

昼、西光寺に行く。特に用はなかったのだけれど、たまには気分を変えるのもいいだろうと思ったのだ。そこでウィトゲンシュタイン青色本』を読み耽る。思えばこんな風にまさに徒手空拳で「テツガク」するようになったのも、上に書いたような発達障害を変えるミーティングを通した出会いがあってのこと。私が「師」「先生」と思う方から「(あなたの考え方は)ほんとうに哲学的ですね」と言われたことで、「豚もおだてりゃ木に登る」とはよく言ったもので「そうか、ぼくは『テツガク』に向いているのかも知れない」と思ってしまったのだ……『青色本』から私は、自分自身の感覚や言葉が他人に通じることの神秘を改めて学んだように思った。ウィトゲンシュタインは自身の考察を通して、この世界の多様性に触れようとしているのではないかと思う。この世界にはほんとうに数多と「考え方」「価値観」「感覚」が存在しうる。その神秘に驚くこと、世界がこのようにして平々凡々に存在することそれ自体が奇跡なのだという「気づき」を改めてウィトゲンシュタインから学んだように思った。

夜、元ザ・スミスのベーシストであるアンディ・ルークが亡くなったとの知らせを聞く。享年59だったという。私は今年で48歳になる……若すぎる死のニュースにショックを受け、改めてザ・スミス『ハットフル・オブ・ホロウ』『クイーン・イズ・デッド』を聴き返し彼のプレイを味わう。そして、私自身この知らせに「おしりに火がついた」ようにも思った。今まで生きてきたけれど、私は何か成し遂げただろうかと考えてしまったのだ……腸が煮えくり返る思いで20代・30代を生きてきたことを思い出した。相反する思いに引き裂かれそうになったことを。「ビッグになってやる」「こんなところでは終わらない」という思いと、「もう死にたい」「生まれてきたことが間違いだった」という思いと……ザ・スミスの珠玉の名曲群に過去に触れて、彼らもこうした二律背反/アンビバレンスに苦しむ心情を歌っていたことを思い出す。そんなアンビバレンスをこの上なく美しい楽曲と演奏で体現した彼らに感謝とリスペクトを捧げたい。アンディの死を悼む。合掌。