跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/11/08

毎日日記を書いていると書くことはどうしたってマンネリになる。私の場合、過去にずいぶん長くヘビードリンカーとして過ごしてしまったこと、自殺未遂までしたこと、そこから立ち直ろうとして今まで生きてきたこと、などがある。とはいえ深刻な話題ばかり書いていても読者はうんざりするだけだろう。私としては目指すところはラジオ番組のノリというか、DJの軽快なトークを目指している。気が向いた時に読者が読みに来てくれて、そこから何かしら学んだり、あるいは単純に気晴らしというか、古風な言葉を使えばパスカルが『パンセ』で言うところの「気散じ」になればいいなと思っている。

今日、ふと北野武の映画『キッズ・リターン』のことを思い出した。あの映画の中で、すでにロートルになってしまったボクサーのハヤシという男が登場する。ボクサーなのに節制とは無縁でタバコをスパスパ吸い、何のために戦っているのかわからないような男だ。過去の栄光にしがみついて、真面目にボクサーとしてトレーニングを続けようとする主人公を堕落させようとする。そんな危険な男。だが、私も実はハヤシみたいなところがあったのかもしれないな、と反省した。だからこそ酒に溺れたのかなあ、と思ったのである。

では今はどうだろうか、と思う。『キッズ・リターン』が感動的なのは(ネタを割ってしまうが)、挫折した登場人物が「懲りない」ふてぶてしさを見せるところでありむしろその挫折で一皮剥けたとも解釈できるその展開だ。誰の人生にも挫折はつきものである。だが、その挫折のショックから暗黒面に堕ちることだってありうる。私も(と「私語り」をしてしまうが)長い間暗黒面を彷徨い「どうして生まれてきてしまったのだろう」と苦悩したこともある。昼休み、そんな風にハヤシのことを考えつつ思った(多分ハヤシとは誰の中にも存在しうるキャラクターだろうと思う)。

それでそこまで考えたのだから、今日は映画の一本でも観ようかとも思ったのだが皆既月蝕が見られるということで、その月蝕を見たりしてダラダラ過ごしてしまった。十河進の本を読んだりもして……何だか「こんなことでいいんだろうか」とも思う。村上春樹の本で知った、デレク・ハートフィールドというアメリカ文学に燦然と輝くカルト的作家が『気分が良くて何が悪い?』という本を残しているのだけれど、私もふと「気分が良くて何が悪い?」と言いたくなる。長い間不遇の日々を過ごしてきてしまったせいで未だに身体の中に「自重しろ!」と私のことを怒鳴りつける誰かが巣食っているように思う。難儀なことだ。それでも私は「私は私で幸せ」と言い続けたいと思っている。