跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/08/03

BGM: XTC "Red"

今日はオフだった。朝、イギリスが生んだ至宝のロックバンドXTCの”English Settlement”というアルバムを聞き始める。私がブリティッシュ・ロックを聴き始めた頃はブラーとオアシスに代表されるブリットポップが盛んだった時期で、XTCはすでに伝説級のバンドだった。敬して遠ざける、という言葉があるが私自身そんなにXTCは熱心に聴かなかった覚えがある。今になって聴いてみると、そのクセのあるメロディが新鮮に感じられて面白い。ブラーもオアシスも今なおグレートだと私は信じるが、XTCと併せて聴くとより一層彼の国のロックの豊潤さを感じられると思った。

図書館に行き、平野啓一郎『死刑について』を借りて読む。以前に私は死刑について「消極的に賛成する」と書いた。平野のこの本では死刑廃止を訴える立場から、肝腎の加害者を「ゆるす」ことの大事さや死刑が国家による致命的な殺人でありうることを主張している。ありきたりの議論ではないか、と片付ける前に平野のこの誠実な筆致を追うことで今一度他人の理不尽な死の悲しみにどう向き合うかを考え、「ゆるし」の可能性について思いを馳せるのもいいのではないかと思った。私自身、死刑について平野と同じヒューマニスティックな視点から捉え直さないといけない。

読書メーターで中国系アメリカ人の女性がコメントを投稿しているのを読む。そのコメントは確かに少し不自然な日本語が含まれているもののなかなか面白く、私のクセのある英語も同じように読まれているのだろうかと考える。そして、彼女の聡明さに幾分かジェラシーを感じなくもなかったものの(前の私なら確実に自分の不甲斐なさに落ち込んでいたはずだ)、今は「グッジョブ!」と素直に思える。人と比べて自分をことさらに貶めるのではなく自分自身が過去の自分からどう進めているかを考えられるようになったからかな、と思う。それはでも、断酒会やその他のミーティングでのつながりあってのことだ。

今度の日曜日に行われる英語研究会のための資料として、もらっていたオバマ前大統領の英語のスピーチ原稿を読む。あとは鈴木涼美『娼婦の本棚』と水村美苗私小説 From Left To Right』を読んだりして過ごす。鈴木涼美の本は良質なブックガイドとして読める。この本の中で橋本治桃尻娘』について語られているのを読み『桃尻娘』に興味を惹かれる。橋本治の小説は私はそんなにハマらず、むしろ十代の頃は湾岸戦争や宗教をめぐる彼の論考を読み耽った記憶がある。なので彼が記したエバーグリーンな青春小説である『桃尻娘』を読んでみるのも面白いかなと思った。