跳舞猫日録

Life goes on brah!

2023/02/10 BGM: 大江千里 - 塩屋

今日は遅番だった。朝、雪に驚く。clubhouseでジュディスさんがルームを開いていたが私は参加できなかった。遅番の日のルーティンが私の中で築かれつつあるようだ。「始めちょろちょろ中ぱっぱ」を意識して焦らないで、まず大江千里を聴きながら着替えをするところから始める。あまりにも濃すぎたり激しすぎたりする曲に頼るのではなく、大江千里くらいにナチュラルにこちらの気持ちに寄り添う曲を聴くのが自分に合っているようだ。とりわけ「塩屋」という曲が自分の心理にしっくりくる。1日の始まりにふさわしい確かな温もりを感じさせる曲で、毎朝この曲に助けられているなと思う。「MAN ON THE EARTH」という曲もいい。若い頃はピンとこなかった彼の世界を今は確かに楽しめていることに気づく。夏が来ればまた彼の名盤『OLYMPIC』を楽しみたい。

読みかけのままだった村上春樹村上さんのところ』を読み終える。あるファンが村上春樹に対して「本を好んで読む人はどうして本を読むのですか」といったことを質問しており、その問いを実に興味深く感じてしまった。春樹は本を読むことが別世界に行くこと、「物語」を通過することの謂であると答えておりその答えも唸らされる。私なら多分「いや、暇だから……」で終わってしまうだろうなと思う。春樹は「物語」の力を実に素朴に、実に確かに確信しているのだなと思わされる。彼の作品は(とりわけ『羊をめぐる冒険』から)「物語」として面白いものにスライドしていった印象を感じるのだけれど、それは近年の達成に至るまで変わっていないようだ。今度出るという新作もまた「物語」なのだろうか。期待が高まる。

別の質問で、本当につらいことを体験した時にどう振舞えばいいかについて「その『きつさ』をじっと抱えていた方がいいのではないか」と春樹は答えている。今の世の中だとホリエモンひろゆき的に即座に答えを出し、チャチャっと立ち直る効率性が求められているように思う。だけど時間をかけて傷と向き合い、傷を通して自分自身の強さと弱さを知る作業もまた大事ではないだろうか。私自身発達障害のことを知り、自分の限界を思い知らされ万能感をへし折られたこと、それに心底落ち込み悔しい思いをしたこと、その苦しみを丸ごと呑み込んで自分の中で消化したことが今の自分の力となっているように思う。私は問題は即座に、こじれる前に解決させる方がいいとは思う。そのために外に出て他人とつながることを求めなければならない。が、そうやって己を知ることと他人とつながることは矛盾しないとも思う。難しい話になってしまった。

今日はジョブコーチの方とも面談があり、その面談の内容は社外秘なのだけれど有意義な面談になったと思う。そして休憩時間にSpotifyをいじっていて、私の愛好するバンドであるモーフィンの作品のいくつかがサブスク解禁されていることに驚き、さっそく聴く。『ツイン・ピークス』やあるいはルー・リードの音楽を思わせるいかがわしさ、セクシーさを堪能する。20代の頃に『ロッキング・オン』を愛読していた頃、その紙面の片隅で異彩を放ってた彼らのことを思い出す。だが、当時の私はブラーやオアシスといった花形のバンドに熱中してしまい本当の彼らの渋みや凄みがわかっていなかった。彼らは本当に過小評価されているバンドなので、この日記を読まれている方で音楽好きな方はぜひ。「Morphine」と入力して聴いてみていただければ実に幸甚だ。