跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/04/17

十河進『映画がなければ生きていけない 2016-2018』を読み終える。これで全6巻を通読したことになる。1999年から書き綴られている、つまり20年にわたって書かれているこのコラムを読み進めると、十河進という人の恬淡とした「変わらなさ」に唸らされる。もちろんそれは進化がないということではなく、日々このクオリティを保つための研鑽を怠っていないということの証左だろう。映画を観て本を読み、ジャズを聴いてそれらについて沈思黙考する。私自身、これからの人生をこの十河進のスタイルを真似て生きられればと思っている(何度も、ことあるごとに書いている通り)。

ZOOMを使った、発達障害を考えるオンラインミーティングに参加した。各メンバーが話題を持ち寄りそれらについて話し合う。私の知人の元ひきこもりの方が、長い苦労の甲斐あって就職が決まったということでみんなでお祝いをした。その他にはブログを使うことの意義やジョブコーチの実態についての体験談、上手な言い訳とはどうあるべきかについてなどが話題となった。どの方の話題も面白く参考になる。それぞれの方がそれぞれのシチュエーションで頑張っている。私も、自分自身の持ち場で自分なりの力を発揮したいと思った。リアルがしっかりしていてこそネットでも輝ける。

夜、『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』をネットフリックスで。第5話を観たのだけれど、アンディ・ウォーホルの黒人に関する認識の甘さというか彼が囚われていた黒人差別の感情について、批判的に検証されていたのが印象的だった。あるいは彼が生きた時代はエイズが問題となった時代でもあり、エイズに対する歪んだ認識も指摘される。こうしてウォーホルを徹底的にフェアな視点から検討する姿勢はもちろん極めて真摯な、清潔なものだと思う。と同時に、あの長い『ウォーホル日記』を読み込んでいる製作者や、同じく読んでいるはずの彼の知人たちに頭が下がる思いがした。

最近、ジョン・スコフィールドの音楽を好んで聴いている。ジャズとファンクを融合させた音楽のようで(もしくはフュージョンなのだろうか)、聴いているとその熟達したテクニックでこちらを心地よくさせる。乾いた音が心地よい。『映画がなければ生きていけない』を読み終えた後、いったい何を読もうか考えている。中断した青山真治の日記『宝ヶ池の沈まぬ亀』を読み直すか、あるいはあの『ウォーホル日記』を読み直すか迷う。日記を読むということで言えば武田百合子の『富士日記』に手を伸ばしてもいいのかもしれない。日記ばかり読んでるが、そういう時期も人生にはありうるかなと思っている。