Back To Life

Back To Reality

2022/03/25

図書館で前田英樹小津安二郎の喜び』と吉田喜重小津安二郎の反映画』を借りた。小津関連の本で今まで読んだ中では、この2冊の本とあとは蓮實重彦の小津論が好きだ。それで前田英樹の本を読んだのだけれど、小津の映画を「植物的」というキーワードで読み解こうとしているという印象を受けた。ガツガツした「動物的」な欲求とは無縁に、淡々と日々の繰り返しを祝福して地道に生きる「植物的」な監督として。「草食的」というのと同じ意味だと思うのだけれど、この言葉は英語にしづらいかなと思った。「ボタニカル」というのとは違うだろうし……。

小津のそうした「植物的」な側面については自分も惹かれるものを感じる。小津の人生の中には戦時中の疲弊する従軍経験も含まれているが、そんな壮絶な体験をくぐり抜けてきた人だからこそ戦争や引いては人生そのものを俯瞰する視点から見られたのかもしれないな、と思う。私も、脂ギッシュに欲望をギラつかせて金だ女だといった生き方はしたくない(確かにそれは極めて人間らしい生き方であろうと思うが)。その意味で小津と親和性と感じてしまうのかもしれない。近々また小津を見直してみよう、と思わされた。

青山真治が亡くなったというニュースを聞いた。九州の友だちとこのことで話をする。私は青山真治の映画は遂に『EUREKA』しか理解できなかったが、日本の映画界に多大な貢献をした人であることはわかる。こうして書いていて、また『EUREKA』の世界に浸りたくなってきた。だが、青山真治はその『EUREKA』から更に脱皮した境地に至ろうとしていたはずで、それを遂に評価できなかったところに私の限界があるのだろう。友だちの話では巨匠然としたところのない穏やかな方だったとのことだ。また時間に余裕ができたら見直してみるつもりである。合掌。

今日はずっとオーシャン・カラー・シーンばかり聴いていた。彼らの曲を聴くと、昔読売テレビで「シネマだいすき!」という番組が行われていて彼らの曲が使われていたことを思い出す。当時は映画に興味がなかったので異次元というか異世界のこととして受けとめていたのだが、まさか自分が映画沼に入り込むようになるとは思ってもみなかった。40過ぎという全然若くもない年齢で映画を観るようになって、それで小津がどうとか語っているんだから世話はない。でも、映画はこれからもなんだかんだで観るんだろうなと思う。