跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/12/12 BGM: Silent Poets "Don't Break The Silence" Remixed by Little Tempo

今日は遅番だった。朝、青山真治『宝ヶ池の沈まぬ亀』を読み終える。他人の訃報に実に鋭敏に反応しているな、と思った。それはそのまま彼自身が実に繊細な感受性を備えているという証左でもあるだろう。ドラマや映画、文学やニュースに関しても鋭い批評眼を向けていて、それらにすべて賛同するわけではないけれど唸らされる。実に興味深い日記だと思った。今年のクリスマスに続編が刊行されるというが、もちろん読んでみたいと思う。断酒して、亡くなられる直前まで記されたというその日記を読みたい。晩年(?)に至り、どんな境地に達したのだろう。

サイレント・ポエツ『For Nothing』を聴く。改めて聴き返してみると、なんだか架空の映画のサウンドトラックのような作品でもあるなと思った。いつもながら頓珍漢かもしれないけれどヴィム・ヴェンダースパリ、テキサス』のような映画を思い起こさせる作品ではないか、と……少し抽象的というかとっつきにくいところはあるけれど、こちらのイマジネーションを刺激して映像を喚起させる。聴き返してみて、青山真治の日記と併せて映画を一本観た後のような気持ちにさせられた。冬晴れの1日によく似合う作品だと思った。

思い起こせば青山真治が『EUREKA』を発表したのが2000年ではなかっただろうか。サイレント・ポエツ『For Nothing』もその時期の作品だったと思う。この頃と言えば私はまさに酒に溺れて、前後不覚というか酩酊状態で生きていた頃だ。その頃にこれらの作品にリアルタイムで触れたのかどうかさえもよく思い出せない。だが、ともあれその頃、私がまだ瑞々しい感受性を持ち合わせていた20代だった頃に触れた作品だからなのか、未だに自分の中で大きい作品として残っていることを興味深く思う。実を言うと最近は新作の音楽や映画にビビッとこないので、常に鋭敏に新作を追い続けていた青山真治を見習わないといけないなとも思ったのだった。

今日、アインシュタインの面白い格言を読んだ。「誰もが天才だ。しかし、魚の能力を木登りで測ったら、魚は一生、自分はだめだと信じて生きることになるだろう」。アインシュタイン自身、落ちこぼれと見なされて生きていた時期があったのではなかったか。そう思うとこの格言もより一層生々しく感じられる。私も入社したばかりの部署で役立たずと見なされてずいぶんつらい思いをしたけれど、今は輝けるステージに立たせてもらっているのかなとも思う。これで仕事で英語を使えたら言うことはないのだけれど、それはぜいたくというものなのだろうか。