Back To Life

Back To Reality

2022/01/15

BGM: Soul II Soul "Back To Life"

昨日「風邪を引いたかもしれない」と書いたが、あれから症状的にはそう大したことはない。だが、仕事をして帰ってきてからは特にこれといってなにかをやるエネルギーも湧かなかったので、映画を観る気にもなれずにベッドに横になって十河進『映画がなければ生きていけない 1999-2002』を読んだ。ネットを調べてみるとこの著者はそう有名ではないらしいが、私にとっては励ましと畏れを感じる偉大な人であることには変わりはない。この人のような渋い50代になりたい……そう思わせられる。ロールモデルたる存在、と言ってもいい。

無残なニュースを聞いた。受験勉強がうまく行かないから、という理由で殺傷事件を起こした十代の青年の話だ。私が事件のディテールなど知っているわけもなく、だから憶測でしか語れないが私自身も十代の時期の視野の狭さには覚えがある。実際に社会に出て人生を生きる前段階故の、頭だけで自分の大学卒業後の人生をシミュレートしてしまう悪癖から現れる狭さだ。平たく言えば頭でっかちに人生を考えるが故の悩みというか。大学を出てからの人生の方がずっと長いのだから、焦ってはいけないのだ、と私は思う。

焦りそうになることがある。こんな20代・30代を生きるはずではなかった、というように……私も順当に就職に成功していればもっと明るい未来が保証されていたかもしれない、と思うことはある。だが、私はそんな時ドリアン助川が司会を務めていた番組『シャウト! 金髪先生』を思い出す。トム・ウェイツについて触れて、トム・ウェイツも30歳半ばまでなかなか成功したと言えないキャリアを歩み、苦労したことが語られたエピソードだ。「先を急がない人生」というのもあるのだな、とこの放送から学んだことは忘れられない。

私は早稲田を出たのだけれど、それが自分の人生を幸せにしてくれたとは思わない。どこの大学を出たか、ではなくその時々において自分がどこに居てなにをしているか、なにをしたいかこそが重要だろう。私は今、こうして日記や小説を書き、友だちとワイワイ仕事や生活について語り合う。お金がかかる趣味はできないけれど、それでもいいかなとも思っている。一生読書やサブスクで鑑賞できる映画や音楽を興じるのも、まあしょうがないかな、と。Twitterで論客を気取る気にもならなくなった。結局これが私という人間なのだろう。