人生は上々だ

Life is good.

2021/12/02

BGM: 桑田佳祐「漫画ドリーム」

アントニオ・R・ダマシオ『感じる脳』を読む。この本のことは実は前々から知っていた。國分功一郎の『哲学の先生と人生の話をしよう』という本を読んだ時に國分功一郎が紹介していたのだ。だが、本格的に読んだのは今回が初めてで得るところは色々あった。私たちが「悲しい」と思うことは、実は「悲しい」という感情(ダマシオは「情動」という言葉を使っている)が先にあって、それが泣き顔などの肉体的な反応として現れてようやく「悲しい」という思いに至る、という事実が平たく説明されている。なかなか面白い。

つまり、私たちは肉体的な反応を先に作ることで思いを動かすことができる。難しい話ではなく、意図的に泣き顔や笑い顔を作ることで悲しみや喜びを自分の中に喚起させることができる、という……私が仕事場で身体を動かしている時も、仕事前はやる気なんてカケラもない。ないのだけれど、いざ手を動かし足を動かすとやる気スイッチが入ってやる気が芽生え始める。ダマシオの筆致はわかりやすく、スピノザという哲学者について触れられたところも読ませる。もっとも、スピノザは全然私にはその内実がわからない哲学者なのだけれど……。

私はそんなに理論派の人間ではない。いつも自分の中のマグマというか、煮えたぎるものに突き動かされてナンセンスなこと、アホらしいことをしている。clubhouseにのめり込んだり、小津安二郎の映画を観たり、古井由吉片岡義男の本を読んだり……最近の脳科学や意識をめぐる本の読書もそんな私の中の「情動」の為せる業であって、いつまでこの「熱」が続くかわかったものではない。発達障害の特性は異常なほどの飽きっぽさや落ち着きのなさなので、2022年になると全く違うことをしているかもしれない(『シン・エヴァンゲリオン』に感化されて農業を始めたり、というように)。

さて、年末年始は一体どんな本を読むべきだろう。ふと森敦『われ逝くもののごとく』を読むべきか、あるいは藤沢周ブエノスアイレス午前零時』を読み返すべきか、と考え始めている。仕事の方は年末年始も忙殺されることが見えている。年末年始があるようでない今の仕事を続けて20年以上……今年もカバンに本を二、三冊詰めて(読めもしないのに!)現場に赴き、そこで弁当を食べて働いて年末年始を過ごすのだろう。若い頃はフローベールよろしく年末年始を祝う風習が下らないと思っていたが、今はそんな風にひとつひとつの季節を祝う伝統が味わい深いと思っている……フローベール感情教育』を読んで年末年始というのも粋ではなかろうか。