跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/10/07

今週のお題「最近おもしろかった本」

村上春樹ダンス・ダンス・ダンス』を読んでいる。主人公の前に登場するユキという少女の言動から、私は自分自身の十代の頃のことを連想させられた。十代の頃(私にもそんな頃があったのだ)、私は触れる音楽や小説がすべてフレッシュなもののように感じられた。今思えば下らないものもずいぶんあったと思ったのだが、当時は音楽に夢中になり始めたばかりの頃だったのでヒットチャートをノートに記録したりして、世間の動向に目を配っていたものだ。そんな情熱を燃やして世界と向き合っていた頃のことを思い出させられた。

高校生の頃、ふと出会った村上春樹フリッパーズ・ギターの音楽に心奪われて、ずっと耽溺していた日々があった。お世辞にも幸せとは言えない日々を生きていたとは思うが、そうしたポップカルチャーと触れ合って生きていられたのはとても幸せなことだった。ああ、そこからずいぶん遠くまで歩いてきた。『ダンス・ダンス・ダンス』の主人公の年齢の34歳を追い越して、ずっとずっと遠くまで……だが、今の目から当時のことを単純に未熟だったと切り捨てたくはない。十代の人間にとって目に触れるものすべてが神秘だった、その日々を頭ごなしに否定したくない。

ダンス・ダンス・ダンス』のテーマのひとつは、多分にユキや主人公がさまざまな出来事を通して成長し、強くなることではないかと思う。そんなテーマに着目して村上春樹の小説を読んだことはなかったが、今回読み返してみてユキや主人公がさまざまな喪失や失意に苦しみ、立ち止まってしまいそうになりつつも「踊り続ける」ことを選び、生き延びようと画策するのを読んでそんなことを思った。そして、そんなメッセージは今の自分に殊の外沁みるもののように感じられる。私もまた、前に進まなければならない。

今日、一件失敗したことがあった。ここには書けない。そのことで落ち込み、物騒なことも考えてしまった。だが、生き延びなければならないし、この苦しみを乗り越えて成長しなければならないとも思った。それは上述した『ダンス・ダンス・ダンス』の影響だ。人は私のことを褒めてくれるけれど、私は自分が至らない人間であること、弱っちくて矛盾に満ちた人間であることを知っている。ゆえに自分のコントロールに苦しみ、失敗もする。自分というデタラメな存在と向き合い、少しでも前に進むよう励まなければならない。私のことを思って下さる人のためにも。