跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/05/05

ブレイディみかこ『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』を読み終える。ヨーロッパとイギリスの政治や経済を中心としたコラム集なのだけれど、読みやすい文章で難解な事象が整理されており収穫は多い。食べ物について書かれたコラムが多いな、という印象を受ける。フードバンクや朝食を抜くしかない子どもたちの話題などなどだ。ひもじい、という率直な生の実感がそのままどうこの乱世をふてぶてしく生きるかに結び付けられて、そのまま政治問題に接続される。彼女は抽象的な問題を弄ばず、アクチュアルな問題を考え抜こうとしている。そこに頼もしさを感じた。

今日は私の父の誕生日だった。今年で父は86歳になる。昔、私は父のことが嫌いだった。私が大学を卒業して後、ニート期間を経て今の仕事を始めてからも認めてくれず、あくまで自分の考えに固執して……今はそんなことはない。私が私なりの幸せを見つけて生きることを応援してくれている。それが身に沁みて感じられる。私が酒に溺れて生きていた頃のことを思い出す。生きる気力を失ってしまって、父の前でずいぶん醜態を晒したものだ。ああ、親不孝者だった。何とも恥ずかしいことをしたものだ、と赤面してしまう。

生まれてきたことが恥ずかしくてしょうがなかったことを思い出した。生きているべきではないのに生きている……こんな話をかつて元同級生に話したら、「もし私の子どもがそんなことを考えているとしたら、とても悲しい」と言われたのを思い出す。ああ、こんな自虐的な考えもまた親不孝の形だろう。酒を止め、私の人生を貫く自閉症という問題について本腰を入れて取り組むようになって、その過程で大事な人たちと出会って、その人たちに自分の弱さを見せられるようになってから私は変わったのだと思う。ああ、人生は本当にワンダフルだ。

嬉しい知らせがあった。Discordでとあるユーザーと出会ったのだけれど、彼女は私が書いているこの日記に触発されて日本語学習の一環として彼女自身の日記を書き始めたというのだった。何だか恥ずかしいけれど、もちろん嬉しくもある。昔は何をやっても長続きしなかったっけ。結果を焦りすぎて、とにかく腰を据えて積み重ねることの大事さがわかっていなかったのだった。今、毎日日記を書くことでログが積み重なって、自分が過去と比べて成長した証を確かめることができる。そんな日記の醍醐味がようやくわかってきたように思う。