跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/03/15

あれから何年経ったのだろう……と、3月15日が来るたびに思い出す。今日はフィッシュマンズのヴォーカリスト佐藤伸治の命日。大学生の頃、フィッシュマンズ『空中キャンプ』というアルバムに触れて以来彼らの音楽は私の価値観や哲学を形成する上で重要な素材としてあり続けた。これは流石にお叱りの言葉があると思うが、熱心に働いて生きるだけが人生ではない(が、熱心に働いて生きるのもまた一興)と教えてくれたのは紛れもなく彼らの音楽だったと思う。彼らにそんな気がなかったかもしれないにせよ。改めて合掌。『若いながらも歴史あり』を聴いて過ごす。

保坂和志『草の上の朝食』を読み返す。フィッシュマンズの音楽と同じく、保坂和志の小説からも生きることの楽しさや愉快さを学んだのだった。鬱屈して生きていた大学生の頃、『草の上の朝食』を読んで登場人物たちがただダラダラと聖書やニーチェについてダベったり競馬に行ったりして、のんべんだらりと過ごすだけのその雰囲気が生み出す多幸感に感動を覚えたのだった。ハタチ頃だったか……当時はまだニーチェも知らず、哲学も文学もなにもわかっちゃいない青二才に過ぎなかった。ああ、こんな人生が待っていたとは。

青い車』の続きを書く。大学を出てから、徒手空拳でニーチェを読みウィトゲンシュタインを読み……もちろんドイツ語なんてこれっぽっちもできない。彼らの思想を理解しているなんてことも口が裂けても言えない。だが、誤解・誤読であれ彼らの哲学は私の中でなにか新しいものを蒸留・沈殿させた。ならばそれをアウトプットして広めたい……そう思うのはむしろ自然ではないだろうか。矛盾するが、私の考えは決してオリジナルから生まれたものではない。だが、私から発せられる言葉は(陳腐なものであろうと)私がこの小さな脳を駆使して考えた貴重なものだ。私が自分の考えをしゃべる時、私は(大げさだが)奇跡が生まれる現場に立ち会っているとすら言えるのではないかと思う。

木曜日、仲間内で行っているミーティングで発表する機会が回ってきた。今思いついている「街にあふれる面白英語」というテーマで話したいと思っている。例えば「ポカリスエット」という商品名。これだって「スエット」は「汗」を意味する。清涼飲料水のペットボトルに「汗」と書かれているのをイメージすると、なんだかシュールで面白い。インスタで日本の面白英語を扱っているアカウントをフォローしているが、そこで語られる英語もまた味わい深い。J-POPといい、街にはファニーなものが溢れていると思う。そういったことを話したいと思った。

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