跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/12/13

BGM: 真心ブラザーズ "空にまいあがれ"

中学生の頃だったか、当時の教師に「あなたは本を読むことで、本の中に逃げようとしている」と言われたことがある。大人になってからも、このようにしてものを書くことが現実逃避ではないかと言われたことがある。それが引っかかっている。確かに私は現実から逃げているのだろう。でも、同時に本を読むことで私は自分の中に確かな哲学を作り上げて、その哲学で己を鍛えたという実感がある。だから、本を読むことは自分にとって必要な営為なのだと思っている。そしてこのようにしてなにかを書くこともまた、自分にとって必要なのだと思う。

私は本を読むのだけれど、それで学者になりたいとか作家になりたいとか、そんなことは思っていない。ただ、私の中の魂が本を必要としている。これもまた抽象的な言い方になるのだけれど、心や魂が本を求めているから、私は読む。私の人生は結局こんなふうにして永遠に本で己をだましだまし癒やすことに終止するのだろう。レディオヘッドの歌詞のように、「永遠に続くかゆみを掻く」ことで終わるのだ。でも、そのかゆさが存在しない人生を想像できない。それが私が背負わなければならない業……というともちろんカッコつけすぎなのだけれど。

12月12日が小津安二郎の誕生日だったとかで、それを思い出し久々に小津安二郎について書かれたものを読みたくなり、都築政昭『「小津安二郎日記」を読む』を読み始める。人生なんて所詮無意味じゃないか、なにをどうやったってどうせ死んでしまうのだから……と思っていたが、小津の人生を辿ったこの本を読んでいたら彼のような巨匠の人生の奥の深さに少し感動させられる。人生とはいつだってミステリアスなもので、はっきりした答えなどない、全ては謎だらけのものなのだろうと思った。なら、深く考えるだけ無駄だ。

精神的に鬱状態が続いている。どうせ、なにをどうやったって無駄だ……このまま死んでしまう。そんなことを考えふさぎ込んでしまう。それでも仕事が始まると身体は動く。なぜ身体は動くのか。なぜ私は仕事をしてしまうのか。やる気なんてないにも関わらず……ああ、人生は謎だ。私はその謎だらけの人生の中を彷徨っている。46歳になったにも関わらず、大人になったという気がしない。子どもの頃のままで変わっていないように思う。一体自分はなにを学んだだろう。「答えは風に吹かれている」(ボブ・ディラン)……。