跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/08/16

今日は午前中に総合病院に行った。そこで先生と話す。昨日考えていた、自分の生活をおろそかにして生きていた時のことを話した。仕事やプライベートを丁寧に生きること、満喫すること。それが大事であり、それを疎かにして小説を書いても虚しい、と。ああ、かつては酒がどうしても止められず先生と会う直前まで呑んだくれたりしていたものだが、今は酒を止めてクリーンな状態で会うことができる。ただ薬をもらいに行っているだけで話すことはいつも同じ、とも言えるのだけれど……映画『ジョーカー』を思い出す。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観る。私が大学生の頃に始まった『新世紀エヴァンゲリオン』もこれで終わってしまった。庵野秀明がその人生を賭けて取り組んだ仕事であり、それに相応しい哲学と技術が盛り込まれた作品だと思う。この作品で「逃げちゃダメだ」と自分に言い聞かせて敵と戦おうとする主人公の姿に、私も「逃げちゃダメだ」と必死になって仕事に赴いた日々を思い出す。こうして、私の中の弱いところ、ブザマな体験を語らせるところがこのアニメの魔性の魅力であると思う。存分に満喫した。

その余波(?)で、庵野秀明に密着したドキュメンタリー『さようなら全てのエヴァンゲリオン』を前半だけ観る。庵野秀明という人はどういう人なのだろう。このドキュメンタリーでは、その人となりが全然伝わってこない。あくまでこの作品を観た限りでは庵野という人は「俺が俺が」と自己主張をするタイプの人ではなく、作品でこそ自分を語りたい人なのだろうと思った。作品に然るべき位置を与えて満足するというか。そのあたり、師匠にして乗り越えるべき存在である宮崎駿とは全然違うように思った。なかなか興味深い。

夜、やることもなくなりまたフェルナンド・ペソア『不安の書』を読み始めた。この本は差し当たって読みたいと思う本がなにもない時に読みたくなる。内容は現代人の倦怠というか、生きていく夢も希望もなくてそれでも生きなければならないという状況にある著者のその思いを率直に書き綴ったもので、読んでいても心が晴れるわけでもない。もちろん、一文の得にもならない。なのにこういう本が私の気持ちを鎮めてくれる。私自身も時折、死なない工夫をして生きていくのが辛く感じられることもある。それは罠である、とはわかってはいる。私たちは大それた目的のために生きるのではなく、生きるために生きるのだ。それはしかし、同時に崇高なことでもある。