跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/04/02

次に何を読むべきか考えている。まだ読んだことがなくて面白そうな本……恥ずかしながら谷崎潤一郎細雪』はまだ読んだことがないのだった。私が好きな批評家の川本三郎が『細雪』について書いているということなので、併せて読んでみるのも面白そうだ。あるいは積読のままのトルーマン・カポーティ『冷血』に挑むのもいいかもしれない。なんだかんだで自分は本を読んでいる時に幸せを感じる。ダニロ・キシュの筆致に溺れている時に、時を忘れて没頭することができる。前に借りて結局読めなかった荷風の小説や随筆を改めて借りてみるのもいいのかな、と思う。

もちろん、ロラン・バルト大江健三郎を参照するまでもなく「読み返す」ことに読書の醍醐味は存在する。そうだな、岩波文庫に入っている大江健三郎の自薦短編集を読んでみるのもいいかもしれない。私は大江健三郎の作品は大作志向の『万延元年のフットボール』『同時代ゲーム』はぜんぜん理解できなかったのだが、ささやかな日々の生活を描いた『新しい人よ眼ざめよ』『静かな生活』といった作品はそれなりに楽しむことができた。ああ、かつてニートだった頃に大江健三郎中上健次を必死になって読んだことを思い出す。

知人がLINEで、近所で桜が咲いたことを写真を添えて教えてくれた。私も職場近くで桜の花が咲いているのは見たことがあったが、満開になりつつあることまでは知らなかった。休みが取れたら写真を撮りに行って、それをジュディスさんや他の友だちに見せるのもいいかなと思った。思い起こせば、かつては桜が咲いたらそれを楽しもうと花見にかこつけて酒を呑んだものだ。どんなことでも酒を呑む口実になった……今はそんなことは思わない。過ぎていく季節の徴に敏感になった自分が居ることを感じて、それが幸せかなと思った。

エリック・ホッファーという私が好きな思想家が、「幸せを追い求めることが主な不幸の原因のひとつだ」と書いている。身も蓋もないが、一種の真理だと思う。まずは「幸せ」だと思っているものが本当に自分にしっくりくるものなのかどうか考えること、それは追い求めないと手に入らないのかどうか考えること、それが大事かなと思った。私の場合、ここに居る健康な自分自身が陽光の温もりを感じることができ、グループホームの食事を美味しいと思うことができ、読書や映画鑑賞に楽しみを見出せる。なんだか「激安人間」だなと我ながら呆れてしまうが、それでも「これが私の生きる道」なのかなと思ってしまった。