跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/12/25

BGM: Tom Waits "Innocent When You Dream"

ダグラス・ホフスタッター『ゲーデルエッシャー、バッハ』の読書が進む。禅問答について触れられたパートにたどり着いた。ある体系の中に矛盾するなにかを見つける、というのがこの本の狙いのようだが(例えば「この文は過去形で書かれています」という文章が矛盾を孕んでいつつも文章として成り立つように)、ホフスタッターの論理的な筆致は次々とそうした矛盾を解析し、そこから人間の思考能力の可能性を探っているようにも見える。そこにこの本のポジティブさを感じる。読み物としても純粋に面白いしタメになる。

それにも飽きると、前々から少しずつ読んでいたフェルナンド・ペソア『不安の書』を読む。ペソアのこの本ともずいぶん長く付き合ってきた。読書はこれで4周目に入るのではないだろうか。私のこの日記もペソアの文章に似ていると言われたことがある。もちろん、ありがたいことだ。だがペソアのこの本にはそんな私にも遂に及ばない凄みがある。生きていることは常に倦怠感に耐え続けることだ、というメランコリックな人生観や世界観に裏打ちされた文章は私を黙らせる。私もまた生きていることに辛さを感じ、一時はとことん酒に逃げたこともあったから……。

前の日曜日に参加したミーティングの記録をまとめた。このミーティングとも付き合い続けて5年か……私が40歳の時のことだ。この年だったか、私は呑み続けていた酒を止めた。そしてこのミーティングにも参加させていただくようになった。自分の人生はそうして好転し始めた。生きることを諦め、いつ死んでもいい、いやむしろとっとと死んでやると思っていた頃のことを、私は今ではつい忘れそうになる。ああ、若かったし愚かでもあった。こんな凄い展開が待っているとは……R.E.M.が歌うように「人生は誰よりも大きい」のだ。

結局、クリスマスだからといって特にこれといって大したことをしたわけでもなく、ただ暇な日にいつもそうするように本を読み、音楽を聴いて終わってしまった。私も自分の人生を賭したなにかを行うべきだろうか。この意味もなく目的もない人生……フランス語を学ぼうとした時もあったし、プルースト失われた時を求めて』を読もうとした時もあった。だが、私は結局いつも刹那的に生きる方向を選んでしまう。来年は心も新たに留学しようか、起業しようか!? と他愛のないことを考える。そして、どうせできっこないことなので諦める。こんな風に人生は続いていく……。