そうこうしていると10時になり、祭りが始まりさまざまな来場客がぼくたちのブースに訪れ折り紙を折っていく。達人というのは(こうした言い草ははなはだ失礼だが)たしかに存在するもので、そうした方々が軽々とピカチュウやランドセルといったものを折っていくのには舌を巻いてしまった。その後、その友だちがブースの方も一段落したので会場を散策してもいいと許可をくれたのでしばらくその会場をぐるぐると歩いて回った。ぼくたちのブースのとなりではALTの先生方がスポーツ関連の展示をやっていて、そこで水鉄砲を打って遊ぶゲームもされていたので入って楽しませてもらった。そこ以外にも英会話教室でお世話になってきたたくさんのALTの先生方とお会いする。ファンシーで魅力的なコスプレを楽しまれていて、それが場の雰囲気を盛り上げていた。なかにはティンカーベル(『ピーターパン』に登場する妖精)に扮した方もおられた。
こんなことを書くのはもちろん「興醒め」というものだが、そのお祭りはたしかに楽しくぼくも日常を忘れてひと時めでたい気分を堪能できたのだけど、ステージから流れてくるバンド・サウンドがとてもうるさかったのには閉口してしまった(ただこれにかんしては、まったくもってイヤミのつもりはなく、ぼくの発達障害からくる「聴覚の鈍感さ」の可能性もある)。それはでもそれとして、お祭りの感想をもう少し記すならぼくはただの一般の勤め人にすぎない。だから、この市にどれくらいの外国からの移住者(移民)が暮らしておられるのか、彼ら・彼女たちの困りごとはなにかなんてことはまったくもって正確には・詳細にはわからない。でも、来場されている方々やそうしたブースで売り子として動いておられた方々の顔ぶれから見てこの市も確実に国際化の一途をたどっている。それは時代の必然だろう。なら、そこからどう異文化交流を行うべきなのか。そんなことをあれこれ素人なりに考えてしまった。
その後、お祭りが終わり後片付けを済ませた後にグループホームに戻る。夜になり、夕食を済ませた後にアニエス・ポワリエ『パリ左岸 1940-50年』を少し読む。読みながら、そのリーダビリティの高い翻訳に誘われてアルベール・カミュやジャン=ポール・サルトルといった書き手たちがそんな第二次世界大戦の時代をどう生き抜いたか学ばせてもらった。そうこうしていると選挙速報が届き、ぼくは政局を分析できる知識・見識なんて持ち合わせていないもののなんにせよ政権が大きく未知のものへ変わる予感を感じてしまう。いったいどうなるのか。こうしたアニエス・ポワリエの本を読み進めることが、そうした時局・時代の変化に追いつく手段になればいいなと思う。