朝、悲しいニュースを聞く。上島竜兵が急逝したというニュースだ。様々なプレスが彼の自殺ではないかという説を語っていた。もちろん私に真相などわかるわけがない。だが、私自身の過去の記憶を思い出させた。私自身も過去に自殺未遂をしたことがあるからだ。だからこそ、このニュースをみだりに拡散することは慎まなくてはならないと思った。様々な知り合いにLINEでこの件について話したいとも思ったのだけど、そうした事情から控えることにした。ともかく落ち着きが肝腎なので、朝からニック・ドレイク『ピンク・ムーン』を聞いて心を鎮めることにした。
実を言うと明日、国際交流協会が行うZOOMでのミーティングで私が発表する番が回ってきていた。私はこの日記について話すことにしていたので資料を作った。今回はグーグルドキュメントを使って作った。私自身が学生時代だった頃にインターネットに初めて触れて、そしてウェブ日記を書き始めたのだけれどそれがなかなか続かなかったこと。今になってやっと自分にしっくり来るスタイルを見つけられたことについて書いた。私の気分は本当にコロコロ変わる落ち着きのないものなのだけれど、日記はこれからも書き続けていきたい。
夜、断酒会に行く。一ヶ月ぶりぐらいの参加になってしまった。そこで実家に戻ったことを話す。実家に戻って寿司を食べたこと、両親に元気な顔を見せたこと。これといって特別なことはできなかったけれど、かつて親の前で泥酔して醜態を晒した人間としてシラフで建設的に日々を生き続けること、大事に毎日を過ごすことこそが親孝行ではないかと(虫がいいといえば虫がいいことを)考えているのだった。他の方の体験談を聞かせてもらい、ウェルカムな空気に触れて心が温まったように思った。ありがたいことだと思う。上島竜兵の話は出なかった。
雨宮処凛『祝祭の陰で』を読む。雨宮処凛の本はいつも興味深く読んでいる。彼女の真摯さは好きだ。この本ではオリンピックに沸いた日本各地で不況やコロナ禍、東日本大震災の爪痕がどう残っているかレポートが記されている。これが日本のリアルなのだな、と思った。「可視化」という言葉が目を引く。これほどまでに全てが露呈された世界であっても、隠されてしまっている事実は一歩踏み込んで観察すればあれよあれよと沸いて出る。それがこの世界のリアルなのかもしれないな、と思った。今日はこんな事実を噛みしめることで終わりそうだ、とまた上島竜兵のことを考えて、こんな時にぴったりの音楽であるイールズ『エレクトロ・ショック・ブルース』を聞いた。沁みる……。