跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/12/21

BGM: Pavement "Range Life"

クリスマスが近づいてきている。今年も私の場合はロンリークリスマスになる。多分ジャズを聴いたり本を読んだり、映画を観たりして過ごすことになるだろう。毎年クリスマスになると儀式のようにウェイン・ワンの映画『スモーク』を観てきたのだが、今年はどうしようか。クリスマスを彩るにふさわしい、人情落語のような大好きな映画だ。昔はクリスマスを恋人同士で祝う風潮を恋愛資本主義でそれ故にくだらないと思っていたのだが、今はそんなことは思わない。恋愛などしなくても人は生きていける。だが、恋愛がかけがえのないものであることも確かだ。私にも恋愛ができる日が来るのだろうか。

小沢健二の『犬は吠えるがキャラバンは進む』が再発されるという。このアルバムは私にとって、本当に90年代を彩るマスターピースの一枚である。青春の一枚だ。思い出すのは最近観たネットフリックスでの独自配信の映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』だった。後ろ向きなところが気になるとはいえ、力作で真摯に語られた90年代の青春の映画だった。ついに私たちと同じロスジェネの世代が過去を回顧し、しかしそれに甘んじるのではなく今を生きる知恵を語り始めたのかと思い興味深かった。いや、そういう表現はすでにあったのかもしれないが。

クリスマスの過ごし方にも絡んでくるかもしれないが、私はいつの頃からか人が決めた幸せというものにそんなに興味を惹かれなくなった。例えば「クリスマスは恋人と過ごすべきだ」という意見にも与しないが、逆に「クリスマスは恋愛資本主義に抗ってぼっちで過ごすべきだ」とも思わなくなったのだ。自分の内なる声が導くままに、心地よいと思ったことをやる。マスメディア(特にTwitter)で流布される極端な意見を気にせず、ただ静かに本を読み音楽を聴き、映画を観る。極端な意見は語られるがままに任せて、自分なりの哲学を生み出したいと思うようになった。

関川夏央『人間晩年図巻 2000-03』を読む。様々な著名人がどんな晩年を過ごしたかが綴られ、そこから逆算される形でどんな人生を生きたかが綴られる。中には「晩節を汚す」人たちも居る。だが、これは評価が割れるだろうが関川の筆はそんな「晩節を汚す」人たちのその汚し方を克明に描きつつも、突き放したところがない。関川の父性を備えた(?)優しさに触れた思いがする。このシリーズを読み進めたいとも思う一方で、ダグラス・ホフスタッター『ゲーデルエッシャー、バッハ』を読みたいとも思い我ながらつくづくコスパの悪い読書をしているなと呆れる。