跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/11/30 BGM: b-flower "舟"

今日、ジョン・アーヴィング『オウエンのために祈りを』の上巻を読み終えた。今の段階でこの作品について語るのはもちろんまだ早すぎるが、実に豊満な小説だという印象を感じる。とても深くて、そして大きな本だ。人生そのものを描き切ろうとしているかのようでもある。だから、読む際は適切なスピードを保って読む必要がある。飛ばし読みになってはいけない。本が求めるスピードに沿ってページをめくっていると、次第にストーリーに自分が馴染んでくるのを感じられる。今はずっとこの世界に浸っていたいと感じさせられる。

そのアーヴィングの小説と並行して、柳美里『JR上野駅公園口』の英訳版の読書を進めた。ホームレスに身をやつしてしまった男の悲哀が伝わってくる。実を言うと柳美里の作品は読んだことがない。何となく敬遠してきてしまったのだが、この小説は実に力作という印象を感じるのでちゃんと読まないといけないと思った。「nighttime economy」という言葉が出てくるのだけれど、これを「水商売」かと思って読んでしまった。「ナイトタイムエコノミー」という言葉でもう日本語にもなっているということを知らなかったのだった。

今年を振り返る時期に来ている。今年は何があっただろう……英語研究会に参加させてもらうことになったのと、あとはジョブコーチを本格的に利用できるようになったことが思い浮かぶ。その他は日記を読み返さないとわからない。ここ何ヶ月かはまるで本を読めなくなって、それで映画をまた観始めたという変化があった。終わってみたらいつもながら平々凡々に過ぎた47歳の1年だったということになる。あとは通訳のボランティアをやったことも大きかった。いろんなことを乗り越えながら、ビートルズ「オブラディ・オブラダ」が歌うように人生はブラジャーの上を行く。

クリスマスが近づいてきている。『オウエンのために祈りを』でクリスマスの描写を読むと、こうした聖なる夜を迎えるのも有意義なことのように思われる。私は人生に絶望した時期が長いので結局結婚もせず子どもも育てずに今まで来てしまったのだけれど、一歩人生の進路がずれていれば子どものために何かプレゼントを買い与えてサンタクロースの役目を務めた人生が待っていたのかもしれない。もしかしたらそんな人生がありえた……そうだな、今年はクリスマスはフランク・キャプラの不朽の名作を観て過ごすのもいいかなとも思ってみた。