跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/11/29 BGM: The Beach Boys "God Only Knows"

今日は休みだった。朝、いつものようにイオンに行きジョン・アーヴィング『オウエンのために祈りを』を読み始める。ジョン・アーヴィングのこの作品はどこか懐かしさを感じる。今読んでいる箇所は子どもの頃の主人公たちの思い出が綴られているのだけれど、その内容や筆致に導かれてこちら自身も子どもに戻ったような気持ちにさせてくれる。油絵のように丹念に塗り込められたかのような、そんな丁寧な筆遣いで読ませる。さすがはアメリカを代表するストーリーテラーの小説だと舌を巻いた。今後も大事に読めればと思う。自分の一生に「刺さる」作品のようだ。

昨日に引き続きビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』を楽しむ。やはり、自分はビートルズの方を好む。だがもちろん『ペット・サウンズ』の偉大さは揺るがない。歳を取るのも悪くない、と思わせてくれる逸品だと思う。自分がこれからどうなるのか、私にはわからない。ゴッド・オンリー・ノウズ。今はジャズやビーチ・ボーイズジョン・アーヴィングを楽しんでいるけれどまた村上春樹村上龍を楽しめるようになるかもしれない。そうして自分の身の上に起こることをしみじみ楽しみたい、とも思う。というか、他にどうすることもできないのだからせいぜい一度しかない人生、貴重な50代を静かに楽しみたいと思っている。

昼、ビル・ポーラッドラブ&マーシー 終わらないメロディー』を観る。ビーチ・ボーイズを率いたカリスマであるブライアン・ウィルソンの生活を2つの側面から描いた映画だ。涙もろくなったせいか、この映画を観ていて最後の最後で落涙した。ブライアンが天才であるがゆえに自分自身の内にある狂気と戦い、才能を発揮して美しい音楽を作らんとするその情熱に胸打たれた。そして彼の最大の理解者が現れ、彼に親身に接したことで彼もまた人生を新たに生き直すきっかけを掴む。ブライアンがそうして人生の主導権を取り戻す様子を描いた、一種の穴馬/ダークホースのような映画だと思った。

夜、サリー・エル・ホサイニ『スイマーズ:希望を託して』を観る。私の好みを読み取ってこうした作品をサジェストするネットフリックスはさすがだと思った。難民になった水泳選手がリオ五輪に出場して脚光を浴びる様子を描いた映画なのだけれど、さながらロールプレイング・ゲームのようにキビキビ展開して無駄がない。それこそアスリートの肉体のように余分な贅肉を持たない映画だ(ゆえに、メリハリがなさすぎるとも言える)。この監督、これから国際的に活躍する類の才人なのではないか。ちょうどダニー・ボイルのように。侮れない才能が現れたと感じた。