その後、イオンにいつもどおり向かう。そこで、しばし読書タイムに興じようとあれこれこころみる。こんかいはさいきんDiscordで知り合いになった人からその方の英語のオリジナル小説を送ってもらっていたので、それを読み進められたらと思っていたのだった(シンプルな英語で書かれていて、興趣を惹くものとして映ったのでこの時間に読めたら読んでしまいたかった)。だが、なぜか集中できない。あきらめてしまい、あまりの鬱に持参していた安堂ホセの本『ジャクソンひとり』を開く気にもなれず、しばしなにもしないでぼんやりする。すると、なんだか希死念慮やそこまでいかなくとも「何もかも投げ捨ててバックレようかなあ」とかそんなことまで考えてしまう。過去のトラウマがそんなことを考えさせるのだともわかっていたので、このことについてぼくが責められるいわれはないと自分に言い聞かせた。まあ、そんなこともある。
ふだんはぼくはスポティファイというアプリを使い、スマートフォンから有線のイヤフォンをとおして音楽を聴く。音楽のチカラを借りてなんとか気分を立て直そう・転換させようと思いプレイリストの中からファンクとソウル中心に編まれたものを選び、そこでクール&ザ・ギャングやスライ&ザ・ファミリー・ストーン、マーヴィン・ゲイといったミュージシャンたちの世界に少しばかりふける。それと並行して、やる気が湧かないなりにぼくがここさいきん書きつづっているオリジナル小説『ビジターズ』について、ノートに書きなぐった草稿の断片を推敲(リライト)する作業を行う。逃げ出したくなるほど最悪の気分だったのが、そうした書き直しの作業を経て(そして、聴いていたスティーヴィー・ワンダーなどの曲たちに助けられて)心持ちが上向くのを感じる。実に音楽の力に対して、感謝を禁じ得ない瞬間だった。
そんなこんなで午後に仕事を始め、5時になり休憩時間に入る。実は明日から、また今シーズンの英会話教室が行われるのだった。明日が待ち遠しく感じられ、いったいどんな方々が参加されるのか想像する。その昔、前ジョブコーチの方に薦められ・導かれ、「あなたの英語はきれいですね」という言葉がはげみとなって、それが縁でぼくは英語を昔取った杵柄で学び直す決意を固めた。それが10年前のことではなかったか。10年だ。そんなに長く1つのことに取り組めるとは思いもしなかった。こんなに長く英語学習を楽しめるとは……過去、ぼくが英語を学び始めた時、右も左もわからず恥をかいたりしたものだがいまではDiscordで知り合いになった友だちやMeWeの友だち、リアルでの友だちなどさまざまな仲間たちと英語学習にいそしめている。これはまさにぼくにとっては奇跡のような事実であるという、そんな端的な実感をゆめゆめ忘れてはならないなとあらためて思う。そんなことを考えつつ、アイズレー・ブラザーズの音楽を聴いていた……なんてカッコつけてみた(ごめんなさい!)。