思い起こすに、いまからさかのぼること30年以上前の高校生のころからぼくは政治に興味を持っていて、それで必死こいてぼくなりに背伸びしていとうせいこうや大塚英志の本をめくって理論武装にはげんだりもしたのだった。でも、あのころはまだインターネットはなかった。いや、正確に言えばあったがいまほど大衆化されたものではなく、パソコン通信はあったにせよぼくはそれに気軽にアクセスできる環境に住んでおらず、なんにせよ孤独だった。だから、そんな中で橋本治や高橋源一郎を読んだりしてあれこれ自分なりに考えたっけ。いや、謙遜でも自虐でもなく本心から言うが、あまり健康な・健全なことを考えていたとは思えない(だから、大学に入って後に極左のカルト的な団体にハマりかけてエラい目にあったりしたのだった)。あの頃のことを思い出すと、そんなわけで汗顔の至りというか赤面せざるをえない。当時、なんだか機械になったような気分でいろんなことを丸暗記・詰め込みで覚えたことを思い出す。文脈なんか無視して年号やキーワードを覚えて……たとえばぼくはフランス革命が1789年に起きたことを覚えたが、フランス革命がどんな意味を持っていたか(その功罪の「罪」の部分もふくめて)をほんとうの意味で学んだのは西部邁や中島岳志の本を読むようになった40代のころだ。なんとも、あの「管理教育」とはなんだったのか。いや、先生たちから学んだことはお世辞・イヤミ抜きでいまも生きているのだけれど。
その後、副管理者の方が出勤しておられたので無理を言って時間をつくっていただき、まず預けていたガソリン代をいただいてそれから相談ごとをする。というのは、ふと「ラジオがほしいなあ(預けているお金で買えないかなあ)」と思ったのだった。そんな高価なものではなく、だいたい5千円を指標にリーズナブルでかつ携帯できるものが理想だ。毎朝の手持ち無沙汰で独り身で、ゆえに1人で静まり返った部屋にいてもそれこそ気が滅入ってくる環境にラジオがあれば、そしてそこからFMかAMで気軽なパーソナリティたちのおしゃべりが聞けたならば気がまぎれるのではないかとか考えたからである。副管理者の方がさっそくググってくださって、そこからいろんなラジオの情報を知る。もちろんこのこと、2人だけで勝手に進めるわけにもいけないので管理者の方とも話したい。その後副管理者のその方から、励ましの言葉をいただいた。仕事でがんばっていてえらいし、唯一無二の人だから自信を持ったらいいよ、ということだった。もちろんありがたいことだ。
1時から仕事に入る。そして休憩時間に、Discordにてある女友だちからスマートフォンで気軽にラジオを聴けるアプリケーションで「radiko」というものがあると教わる。さっそくインストールし、日経あるいはNHKのニュースをテキトーに楽しむ(Twitterの使用料が値上がりするとかなんとか聞いた。ほんとなら実に世知辛い世の中だ)。ふと、そんなラジオに並行してカバンの中に入れられるような週刊誌や新聞を買うのもいいのかなあ、とも思った。英語で読めるものが理想で、それで英語学習と暇つぶし・気散じの一石二鳥を狙っていくという。いや、どんな雑誌があるんだか知らないのでせいぜいこのへっぽこな頭で思いつくのは『TIME』とか、あるいは『Newsweek』なんかになってくるのだが……そうした雑誌・新聞がぼくの語学力とマッチするのかわからないし、いざ買ったとしても続かなければまさに宝の持ち腐れ。急いてはことを仕損じる。あせらず、グループホームの管理者・副管理者の方々と相談し合っていきたい。まず古新聞・古雑誌を知人に安価でゆずってもらって、それを「お試し」で読みくらべるのはどうか、とか。その後、まだしつこく感じるめまい(というか、頭が重い感覚)と戦いつつボチボチ仕事をして終わる。
