その後、来る日曜日に輪読の予定を控えた『ハリー・ポッター』の原書の残り部分を少しずつ読み進めていく。実はぼくは不勉強にも、この世界的に大ヒットしたという小説をまったく読んだことがなかった(映画も観たことがないのだ)。いったいストーリーのメインライン(中心となる「スジ」)においてなにが起こっているんだか、ぼくの英語力ではなかなかおぼつかない。「マグル」ってなんだろうとかハリー・ポッターっていつ登場するんだ(もう登場しているのか?)とか。でも、そんなありさまなのでストーリーをまったくもって正確に追いかけられていなかったにせよ、辞書を引き引き読む読み方が怪我の功名的に功を奏したのか、細部に目が行き実にヴィヴィッド(鮮烈)に、めくるめくヴィジョンを提示しているファンタスティックな話だと唸ってしまったこともまたたしかだった。実にあなどれない。
午後になり、ひと仕事おっぱじめる前にグループホームの方々に作ってもらっていた日常のチャート表をあれこれしたためる。これはもっぱら、早番あり遅番ありとイレギュラーなスケジュールで働いたりして生活しているぼく自身がどのように日々を過ごしているか「見える」ようにしたいと思ってはじめたことである。シャワーを浴びたり朝食を摂ったり、Zoomに出たり仕事したり床に就いたりといったことを書き留めていくのが目的だ。それを振り返ることで見えてくるものもあるのではないかと思っている。その後、今日の仕事をはじめた。
午後5時に休憩時間に入るまで、ぼくは仕事をしつつあれこれいつものように考えごとをする。今日はぼくがこれまでの人生で楽しんできたさまざまな音楽について考えた。とりわけ、なぜかビートルズのことについて考えがはまり込んでしまい、そこからなかなか抜けられず病みつきになる。たぶんこんなふうに、リアルタイムでビートルズを目撃した世代というわけでもないのにハマってしまったのはLINEの英会話関係のオープンチャットでまさしくビートルズ談義が繰り広げられていたのをさらりと読んでしまったからだろう。『ハリー・ポッター』もそうだが、ビートルズはさすがに大ヒットしたコンテンツだけあって人々をタイトというか緊密につなぐと唸る。もう解散してから45年になるのではないか。にもかかわらず、いまでも新しいファンが増えつづけている……ぼくだって(不純・ふまじめ・不勉強であるにせよ)1人のビートルマニアかもしれない。でも、はてさていったいそんなビートルズからなにを学んできたのかなあ、と考えると言葉に詰まる。たぶんユーモアについて学んだのと、もしくは(語弊があるが)物事をななめから見る冷笑的態度かなとも思う。いや、これについてはさすがに言葉がまだまだ練られていない。もっと考えたい。
7時ごろ、仕事中に同僚の方からこんな知らせを聞く。というのは、職場のトップボスが希望者(この降りしきる雪のせいで帰れないと往生してしまう人)はもう早退してもいい、とおっしゃったのだそうだ。いや、もちろん無人になるのは問題があるので残るべき人も何人かいたことはたしかだ。でもぼくにかんして言えば「もう帰ってもいいですよ。あとは自主判断で決めて報告してください」という話になった。路面が凍ってアイスバーンになってしまったり、あるいは仕事中に上に書いためまいがぶり返したりしてしまっては困るなあ……とも考え込んでしまい、結局好意に甘えさせてもらって帰らせてもらった。その後は遅いご飯を食べて一服して、そして小西康陽『わたくしのビートルズ』をちょっとばかり読み返したりして過ごした。ああ、なすがままにというかなんというか、人生そんなものというか。Life goes on, brah!
