そのZoomミーティングを終えたあとは朝食を摂り、そして晴れて前々からお世話になっている英語研究会のミーティングに参加する。まず、そこでつねづねお世話になっているある方が彼自身の個人的な来歴を記したプリントをくださった(自伝的なことがらを記したものだ)。そしてまずミーティングのマクラとして、日本がかつて真珠湾攻撃を行ったのがほかでもない「この日(つまり『12月8日』)」であることを話された。ここまで読まれて察されたように、その方はとても「物議を醸す」話題をシェアされた。ここで書けそうなこととして「さらり」と挙げるなら、神風特攻隊や先にも書いた真珠湾攻撃(リメンバー・パールハーバー)、彼の兄が戦死した事実、といったことだ。
もちろん、こうした見解を「一方的過ぎる」「戦争の反省がない」と断罪するのは実にかんたんだ(かんたんすぎる)。もしぼくがもう少し若かったなら、ぼくは結局いまもってなおただの愚鈍な左翼なので即刻「話にならない」と見切りをつけたかもしれなかった。でも、いまはちがう。これはなんら皮肉でもイヤミでもなく心の底から、その方が英語学習にいそしみ情熱を燃やす姿を畏敬の念をもって見つめている(つもりだ)。政治的態度はなるほど「真逆」だろう。でも、尊敬の念を禁じ得ないのもまた事実だ。その方のイデオロギーに「右翼」と乱暴にラベルを貼るのは控えるべきだ。その方の来歴、その方の情熱をそんなことをしたら否定もしくは矮小化することになる……そんなことを、あるDiscordのサーバの企画のアドベントカレンダーの一環で英語で記事としてしたためるべきだ、と思ってしまった(実はなんと、今日が締め切りなのに一行も書いていなかったのである)。
その方はそのマクラの締めくくりに、「いったい皆さんはなんのために英語を学ぶんですか。こうしたテキストを読むだけじゃなくて、外国人と向き合って彼らのことを学ばないといけないんです」とおっしゃった。ああ、なんというおもしろい偶然だろう。今朝のZoomミーティングでも話題になった質問がまたここでも繰り返されている。いったいなんのために英語を学ぶのか……これについて、およびその方の態度や意見がもたらした印象を吟味するにつれて、シニカルに「暇つぶしだから」「たかが英語じゃないっすか」とは片付けられないなと思った。いや、ぼくは大真面目にその方の疑問と向き合っているつもりである。
ロアルド・ダールの『マチルダは小さな大天才』の輪読をそのミーティングでこなした後、グループホームの自室で昼食を摂りその後本家の管理者の方に会いに行く。そこで、下ろしてきた給金を渡した後それを整理する。その後はここで書けないようなことを話した(もっぱらぼくの中の欲求不満について、とだけ書いておきたい)。その後、先に書いたようにまったくもって手を付けていなかったアドベントカレンダーのための英文記事をしたためる。夕食後、かんぜんにフリータイムになってしまい手持ち無沙汰であれこれ時間をムダに浪費する。パラパラとなんの期待もせずに読み返し始めた田中小実昌や保坂和志の文庫本を開いたり開かなかったり……とまあ、終わってみればいい1日だった。ぼくは神は信じないが、でもこういう日に出くわすと「英語の神様」が英語を学び直し、モチベーションを保ちつづけるためにこんな1日(英語をなんのために学ぶのか考え直させる日)を設けたのかな、と思ってしまったりもするのだった……。