今日は休みだった。朝、どう過ごすか迷った挙げ句図書館に行き本を借りる。ジョン・アーヴィング『オウエンのために祈りを』と『神秘大通り』、そしてディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』だ。ジョン・アーヴィングの本を読むのはずいぶん久しぶりになるな、と思う。実を言うと高校生の頃に村上春樹が翻訳していたという理由で『熊を放つ』を読み、そこから『ガープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』を読んだはずだが何せ30年前のことだからぜんぜん覚えていない。考えてみれば高校生にジョン・アーヴィングがわかるだろうか、とも思ってしまう。
それで『オウエンのために祈りを』を読み始めてみた。すると文章がさすがというかこちらをグリップする力があり、読める。ここ最近本を読んでいてもどの本も同じようなことしか書かれていないとさえ思い、端的に退屈してしまっていたのだけれどこれは読めそうな気がしてきた。もしかしたら30年ぶりに『ガープの世界』や『ホテル・ニューハンプシャー』を再読する機会になるのかもしれない。そして、ジョン・アーヴィングがしみじみと沁みるようになってきたというのは私の人生も別のステージに達したということなのかもしれないな、と思った。
昼、ネットフリックスのドキュメンタリー『Racionais MC's:サンパウロのストリートから』を観る。ブラジルに友だちがいて彼がいろいろ彼の地の話をしてくれるので、その友だちのことを思いながら観た。ハショナイスが戦っている相手がどういう「巨悪」なのか日本にいる私は見極められていないとも思って、自分が確かに「平和ボケ」しているかなとも思う。このドキュメンタリーを観て私はハショナイスのファンになった。ブラジル版『ストレイト・アウタ・コンプトン』とも言える実に硬派な作りの映画で生々しい迫力を感じた。
夜、ジョージ・クルーニー『僕を育ててくれたテンダー・バー』を観る。ネットスラングで「親ガチャ」という言葉があるのを思い出した。親は選べない、という現実。だが、その現実の中ででも学べることはたくさんあるだろう。この映画の主人公JRはバーで大人たちから成長するための手ほどきを受け、一歩ずつ大人への階段を上っていく。その酒は旨そうだな、とも思った。いや、私はもう酒とは無縁に生きたい。二度とあんな地獄のドロドロした日々は過ごしたくない。だが、こういう映画は酒場がもたらす幸福な側面について教えてくれるとも思う。
※今年の冬もシングル・ベルになりそうなので、SpotifyでSIONの珠玉の曲たちを聞いて静かにXmasを祝おうと思う。