跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/11/23 BGM: A Tribe Called Quest "Jazz (We've Got)"

雨だった。朝、ウォン・カーウァイ欲望の翼』を観る。ウォン・カーウァイは『恋する惑星』が肌に合わなかったためそんなに積極的に観たいとは思っていなかった(だが『恋する惑星』は最近観直していい映画だなとも思った)。でもこの『欲望の翼』はなかなか興味深かった。深い思索を感じさせる登場人物のひとり語りに村上春樹などの文学と共通するものを感じ、ウォン・カーウァイとハルキ文学は意外と(?)相性がいいのではないかとも思う。繊細な登場人物の内省とB級活劇の要素が巧みに組み合わさった映画だと思った。

昼になり、岩井俊二『Love Letter』を観る。まだ「ワープロ」が活躍していた時代、つまりインターネットが大々的に普及していなかった時代のラブコメで、にも関わらず今なお古臭さを感じさせずに魅せるのは流石だと思う。アラがないわけでもないが、しかし古典的なドラマとして完成度が高く丁寧に作られているからこそ今でもエバーグリーンな輝きを放っているのだろう。岩井俊二を再評価したくなった。ここで展開している「文通」の文化は今でも活きているのだろうか。私も誰かに手紙を書いてみたくなった。誰に書くべきか。

夜、LINEミーティングで断酒会を行う。その後マイケル・エプスタイン『ジョン・レノン、ニューヨーク』を観る。ジョン・レノンという人は何だったのだろう。少なくとも今語られているような「楽聖」というイメージに単純に収まる人ではなかったとも思う。飲んだくれのダメ人間で、でも音楽や政治に対しては本能的な冴えを見せる、そんな人。ミュージシャンであると同時にアクティビストでもあったジョン・レノンの、その旺盛な活動を日記のように綴った映画だと思った。今年もクリスマスがやってきてまたジョンのクリスマス・ソングを聞き返すことになりそうだ。

これでいいのかな、と思う。今日は宮台真司の映画評を読み返したりして本と親しもうとも思ったのだけれど、蓋を開けてみると3本映画を観て過ごしてしまった。最近になって映画にまた関心が向くようになり、時に寝て過ごしたいと思う時であっても「じっと座って映画を観て過ごしたって休んで過ごしているのと同じなんだから」「目さえ開けてればOKなんだから」と思い映画に勤しんでしまう。ケチ臭いというか、小心な性格もここまで来ると立派だ、と我ながら呆れてしまう。いったいこんなに映画を観てどうするんだ、と思いつつ脳内に映画をインプットしてカオスを作り出しているのだった。