跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/11/10

今日は早番だった。いつもと同じ日。特に変化はないような……そんな日々の繰り返し。だが、平穏な日が来ることに私は感謝すべきなのだろうとも思う。平穏な日……映画を観られて、仕事に励むことができて、読書を楽しめるような日。書き続けてきた映画評のコレクションも200を超えたし、Filmarksの短評も600を超えた。継続は力なり。かつてバズることを夢見て、一発で有名になりたいと思って無茶なことをしたことを恥とともに振り返ってしまう。結局のところ地道に続けている人にこそ幸運の女神は振り向くのだろう。いや、わからないけれど今はそう信じられる。

もしクリスマスシーズンが来たら、またウェイン・ワン監督『スモーク』を観たいなと思っている。1995年、恵比寿でこの映画を初めて観て感銘を受けてからそれ以来この映画を観て自分の中にまだ消えずに残っている熱を確かめる習慣が身についた。この映画は私にとってある種、熟達した語り手による人情噺であると思っている。私の大好きな小説家のポール・オースターが書いたストーリーは上手く、その味わいを損なわずに巧みに映画として結実させているウェイン・ワンの腕前にも唸る。このような映画と出会えたことを私は幸せに思う。

ああ、ハタチの頃にその『スモーク』と出会ってから幾星霜。途中酒に溺れたり死にかけたりしたこともあったけれど、過ぎ去ってみれば実に味わい深い人生だったとも思う。少しはたくましくなれただろうか。『スモーク』に登場するハーヴェイ・カイテル演じる煙草屋の店主のようにたくましく……はなれなかったにせよストリートワイズと呼ぶべきものを身につけられたかな、と思う。過去に会社で「本に書いてあることしかできないくせに」と皮肉を言われたことを思い出す。それもまた、今となっては味わい深い思い出ではある。

会社の中で、自分は昔ずっと自分を消そうとしていた。無味無臭の人間というか、人畜無害な人間としてみんなの邪魔をすまいと思って……今は自閉症を押し出し、かつ英語でメモを書いたりして個性を発揮して仕事をしている。時は変わる。TwitterでもFacebookでも自分はかつて剽軽者を演じようとしてずいぶん無理をしたが、今はありのままの自分であることがラクだと思って過ごしている。ありのままの自分を貫いて生きていると、不思議と人が寄ってくるものだ。今日も仕事をこなし、映画を観て楽しく一日を終わることができた。こんな一日に感謝したいと思う。