跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/04/23

今日は休みだった。午前中イオンに行き、そこで川本三郎荷風好日』を読み終える。永井荷風のことを私はずっと「偏屈な爺さん」と思っていた。この本を読んだのだけれど、大筋でその認識は間違っていないもののもっと内に繊細さを秘めていて優しく、またそれ故に脆弱な存在であった荷風の姿が見えてきたと思った。「見る人」として都市を自由自在に遊歩し、そしてそこで起きたことをジャーナリスティックに記録し続けた荷風。彼の随筆集を図書館で借りた。これから少しずつ読んでいきたいと思う。同時に川本三郎『小説、時にはそのほかの本も』も借りる。

午後、昼寝をした後にグループホームを出て近所の施設で3度目のワクチン接種をしてもらう。私が打ったのはファイザーだった。その後経過を見守ったのだけれど、思ったほど激しい副作用は出てきていない。熱も出た様子はないし気分も悪くない。ただもちろん、自覚していないだけでワクチンを打ったことで身体に何らかの異常は起きているかもしれない。安静に過ごすが吉と見た。その後『小説、時にはそのほかの本も』を読み進める。時折息抜きにDiscordでチャット。こんな読み方をしているのだから全然威張れたものではない。

川本三郎の本をこれまで読み進めてきて思うのは、彼が「あられもなく」作品に溺れる類の人ではないということ。彼は常に自分にブレーキをかけ、ストイックに作品と測ったように距離を置き言葉を連ねる。ゆえに彼の本からは退屈さを感じるが、じわじわと来る渋みもまた感じられるので面白い。語弊を恐れずに言えば川本三郎は「大人向け」の作家なのだと思う。子どもが読んでわかるような文章ではない。いや、彼の論は万人に開かれたものだとは思うがその根底にあるのはある種の大人向けのタフさなのだと思う。これは説明するのが難しい。彼の論述は村上春樹の小説にも似た、「むずかしい」(加藤典洋)ものだ。

夜、食事を摂った後どうするか迷った。ネットフリックスで『ホワイト・ホット』を観ようかとも思った。だけどその気になれなかった。いつも思うことだけれど、シネフィルではないので映画を見るまでには何らかの気合が必要となる悲しい人間なのだった。それでDiscordでダラダラとチャットをしていたら就寝時間になってしまった。たまにはこんな日もある。ワクチンの副作用はこれから出てくるかもしれないので、安静にしておくに越したことはないだろう。川本三郎の別の本でも読みながら明日もひねもすのんべんだらりと過ごすのがいいのかもしれない。