跳舞猫日録

Life goes on brah!

2022/02/08

晴れた日。こんな日に仕事か……と思いながら社員食堂でなにか音楽でも聴こうかと思い、北京オリンピックを尻目にSpotifyビートルズを聴く。ビートルズに関しては昔偏見があってきちんと聴けなかったことを思い出す。ビートルズはボンボンの音楽だと思っていたのだった(不良の代表格として散々受け取られたグループなのに!)。「イエロー・サブマリン」を聴きながら、こののどかでフレンドリーなところが魅力的だな、と思う。この曲は確かリンゴ・スターがボーカルを取っていたはずで、そう思うとリンゴの声は味がある。ノスタルジックな味というか。

ビートルズに素直に入り込めなかった自分を思い出すと、こういう「みんなに親しまれる音楽」というのが苦手だったのかな、と思う。私は心底ひねくれ者なので、「みんなに親しまれる」というところに嫌悪感を感じるのだった。だからベストセラーも読まないし「国民的人気」のドラマも観ない。もちろんビートルズはかつて上の世代から思いっきり叩かれた過去があるので、私の偏見は間違いであることが明らかになる。話が変な次元に発展してしまったが、今になって聴くビートルズは味がある。多面的というか、こういう音楽こそ多様性の鑑だと思う。

夜、英会話教室に行く。行われるかどうか心配に思っていたが、この一回/一日を以て今シーズンは終わると聞いた。やはりコロナ禍の影響からだろう。今日のトピックはバレンタインデーについて。必然的に私たちの恋バナについて話すことになった。私の人生には華々しい恋バナの材料はないのだが、過去に発達障害繋がりで出会ったとある女性の話をした。魅力的な人で、告ったけれど上手く行かず残念な思いをしたこと、それでもいい体験だと思っていることを話す。ああ、あの出会いがなければ私の人生はずっとゾンビのように現世に未練を遺して、うろうろと破滅を待つだけだっただろう……。

その後、グループホームに帰って沢木耕太郎『ポーカー・フェイス』を読む。沢木耕太郎の書くものからは「ネクラ」な要素を感じる。いや、リアルの楽しさを満喫している人だとは思うのだが(彼がSNSをやっていない理由も多分にそうした「ネットで吠える」必然性がないからだろう)、その根底にあるのは世間にはびこる様々な「欺瞞」「ごまかし」を見抜く眼差しの強度であり、その眼差しこそが彼の魅力でありそれを隠さないところに彼の真摯さがあると思うのだ。その真摯さを発揮する姿勢は「ネクラ」さ、つまりリアルとの折り合えなさでもあるのではないかと愚考してしまう。