Back To Life

Back To Reality

2022/01/30

昼休み、社員食堂で時間を潰した。スマートフォンをぼんやり弄っていたら、ネットフリックスで来月『ゼロヴィル』が配信されるというニュースを知り、ぜひ観てみたいと思った。スティーブ・エリクソンによる原作はずっと昔に読んでいた。映画に関して並外れた知識を持つエリクソンがその偏執狂的な情熱を駆使して書いた力作で、なかなか面白かった。ここ最近なんだかんだで映画からは遠ざかってしまっているのだけれど、また観始めてもいいかもしれないと思った。ネットフリックスということなら『ドント・ルック・アップ』も気になるのだけれど。

世事に疎いというか、ニューリリースやベストセラーの類を全然追いかけられていないことに気づく。昔、音楽に夢中だった頃は『ロッキング・オン』を読んだりしてどんな新譜が出るかスケジュールを頭の中で組んだりしていたのだけれど……今はもう新譜も買わないし、古い本を図書館で借りて読んだりして満足しているだけだ。むやみに本を買い込むこともなくなった。今持っている本で満足するようになった、ということかもしれない。歳を取った、ということなのだろう。今気になる本といえば小林信彦の『日本橋に生まれて 本音を申せば』くらいだ。

だから、私は流行りのことなんて全然わからない。いったいなにが世の中で受けているのかまったく知らない。社員食堂では格付けチェックを行う番組の再放送をしていたが、私はどこが面白いのかわからなかった。私が面白いと思うものはどうもネットフリックスで9.11同時多発テロを検証するとかそういう番組のようだ。むろんそれで悪いなんてことはないわけだが、テレビを楽しめないというのは悲しい。流行っているものには流行るだけの理由があると思う。人の心を掴むなにかがある。それはお世辞ではなくすごいことだと思うのだ。

夜、十河進『映画がなければ生きていけない 2003-2006』を少し読む。十河進という人もまた流行りにやすやすと乗っかることのない、彼の哲学を持っている人だ。その「彼の哲学」が私を安心させる。『映画がなければ生きていけない』シリーズを読むのは2周目なのだけれど、当面はこのシリーズを読み返すだけでいいかなとも思った。新刊で面白そうな本もないし……バレンタインも近づき、また製菓会社のマーケティング戦略でいろんなチョコが売れて賑わう時期が近づいてきた。私はチョコレートとは無縁にポール・チェンバースのジャズを聴きながら過ごすことになりそうだ。