跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/12/09

BGM: スチャダラパー "SANTAFUL WORLD"

マルチェッロ・マッスィミーニ&ジュリオ・トノーニ『意識はいつ生まれるのか』を読み終える。非常に平たく書かれた刺激的な本だ。脳や意識に関して考察を誘う。人間の脳は手のひらに乗る程度のものだが、その脳の中に無限とも言える宇宙が詰まっている……そんなセンス・オブ・ワンダーに関して繊細な書き手が書いた本だと思った。その繊細さがこの本をヴィヴィッドなものにしていると思う。一体意識とはなんだろう。自我とは……だがそういった問題は脳科学から離れて別の方角からアプローチすべきなのかもしれない。

なぜ生きなくてはならないのだろう、こんな下らない人生を……と、今でも考えることがある。もうこれ以上生きるなんてできない……だが、部屋の中に閉じこもって寝込んでばかりもいられない。時間が経てばお腹が空くし、本も読みたくなるし、職場に行けば否応なしに仕事をしたくなる。そんな風にしてこの身体が「生きたい」というメッセージを発する。そしてそれはなんら異常なことでもないのだと思う。自分の中から好奇心や欲望が出てくる間はまだ大丈夫だ。今日も一日仕事をこなし、本を読んだ。明日はどんな本を読もうか。

かつて、やはり「もう生きていけない」と思ったことがあった。物騒なことを考えた。だが、観たい映画があったために姫路まで行ってそこでその映画を観た。抽象的で掴みどころのない、ユニークでオリジナリティに満ちた自主映画だった。一体なにを意味しているのだろう……考えが噴水のように湧き出てきた。そして、そんな思いがほとんど無限に湧き出てくることに驚き、「まだ自分は大丈夫だ」と思ったのだった。自分の中から湧き出るなにかがある。まだ考え続けることができる。なら、自分はまだまだ生きていける……この体験は今でも私の中で生きている。

ティム・インゴルド『生きていること』という本が気になっている。カネには全く余裕がないのだけれど、それでもこの本を買って読もうかと考えている。図書館に購入を頼むべきだろうか。ああ、いつも本に助けられてきた。10年前のどん詰まりにいた頃は車谷長吉を読み、今は脳科学の本を読み……いつも本は「世界は神秘に満ちており、思っている以上に広大だ」ということを教えてくれた。人の思念は思っている以上に遠くまで届く……時間を止めることはできない。夜は更けそして朝が来る。ならば、私も体内時計を整えて生きるまでだ。「朝目を覚ますと憂鬱な気分/シャワーを浴びたら忘れちゃうけどね」(ピチカート・ファイヴ)。