跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/09/29

長引くコロナ禍のせいだろうか、私だけではなく私の知り合いも調子を崩している。私も一体どうしたらいいのかわからず、途方に暮れている。今日も仕事だったのだけれど、うまく行かなかったらどうしようかと考え込んでしまった。「できるよ。大丈夫」とおっしゃった方の言葉が思い出された。今私たちに必要なのはなんだろうか、と考える。緊急事態宣言も開けるというので、またオフで会うことができる……ほど状況が甘いとは流石に思わない。生き続けることが大事だ、と思う。生きていればきっとなにかチャンスがある。

仕事中、心が折れそうになったのだけれどR.E.M.の「マン・オン・ザ・ムーン」を口ずさむと不思議と気分が晴れた。R.E.M.は私にとってビートルズと同じくらい偉大なロックグループで、彼らの曲からいつも元気をもらっている。この曲が入ったアルバム「Automatic For The People」を何度聴き返したことか、私にはわからない。この季節になるとこのアルバムの持つ静謐な空気に浸りたくなる。彼らは人生の機敏をわかっている。弱い気分の時に敢えて憂鬱さに身を任せることの大事さを知っている。そこが凄いと思う。

片岡義男の『言葉の人生』という本を図書館で借りた。片岡義男の文章は好きだ。昔は単なる三文小説の書き手というかペーパーバック・ライターとしてしか思っていなかったのだけれど、そんなことはなくきちんとしたポリシーや哲学を持ち考察を続ける粘りのある姿勢に惹かれるようになった。この本は片岡義男が出くわした言葉に対する違和感がフェティッシュに綴られている。読んでいて背筋が伸びる。還暦前の人たちを「プレカン」と呼ぶというのは初めて聞いた。こういう学びがあると、読書が嬉しく感じられる。

片岡義男に関して言えば、『日本語の外へ』を読んだことが大きかった。湾岸戦争について、英語を解する彼が海外のプレスの英語に触れて日本とアメリカの関係を洗い直した力作で、その凄まじい考察に舌を巻いた記憶がある。今こそ彼の書いたものを読むべきなのかもしれない。『10セントの意識革命』を読んでみようか……本を読むことはこうして、自分の日常生活よりも広い世界に目を向けること、あるいは意識を広げて自分の想像のキャパシティを広げることでもある。だから私は鬱になっても読めるなら本を読むだろう。