跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/09/17

どうも調子が悪い。気分が乗らないのだった。台風が近づいてきているせいなのか……鬱々として、自分がこれまでの人生においてなにを成し遂げたか考えている。一作も小説を残せていないことや、私の父みたいに家を建てることもできなかったこと、子どもを育てなかったことを考える。でも、私は私自身を育てた。この異常な自分自身を異常なままに育てて、時に自殺未遂をしたこともあったけれど生き延びて、ここまでに至った。それは充分に誇れることではないだろうかと考える。なにはともあれ、ここまでに至った……。

なるほど、私の人生は俗に言う成功者の人生ではなかっただろう。むしろ敗残者の人生だったのかもしれない。貧乏で、会社でも平社員で、恋もしたことがなくて……しかし、そういった辛い要素もひっくるめてこの私にしか与えられなかった人生、この私が生きなければならなかった人生だと思う。そんな人生を生きて、自分をここまで鍛え上げたのだ。いや、いずれ死ぬとなるとそんなことは無意味に終わるのかもしれない。ただ私はこのようにしか生きられなかったから自分を鍛え、育てた。そのことを今は有難く思う。

デヴィッド・リンチという私の大好きなアメリカの映画監督についての自伝『Room To Dream』というペーパーバックを読んでいる。英語の本である(完読する前に日本語訳が出てしまったのだけれど)。実を言うとペーパーバックを読み通したことは一度しかないので、この本を読み通すことができたら記念すべき体験になると思う。リンチの語りと編者(?)の語りが相互に掲載された構成を採っており、どちらの語りも英語学習中の私にとって読みやすいと思う。リンチの新作はいつ、どんな形で発表されるのだろう。

ペーパーバックを読みつつ思う。こうして好きな本を思いっきり読める生活こそ自分が望んでいたものではないかと。社会人になったら好きなことをやれる時間がなくなる、という言葉を真に受けて絶望したことがあるので、自分が貧乏暇ありの生活をしていることを不思議に思う。今の会社に入ったのも、リンチの手掛けたテレビドラマ『ツイン・ピークス』に夢中になったのも、友だちに英語を褒められたことで本格的に英語で発表してみようと思ったことも、みんな偶然に左右されて起こったことだ。私が計画的に生きてそのような事態になったわけではない。生きていたらそういったものに出くわして、楽しんだ。こうなるための準備としてでは全くなく。偶然とはなんだろう。不思議な人生だ。