跳舞猫日録

Life goes on brah!

2021/08/31

今日と明日、特に申し出ていたわけでもないのに会社が休みをくれたので、せっかくだからと思って実家に帰ることにした。ただ、帰ってなにをやるというわけでもない。早速ベッドに寝転がって本を読み、そして眠ってしまう。音楽はブラーの『The Magic Whip』だ。シド・バレットにも通じる酩酊を感じさせる、力強くポップで、でも骨太なロックサウンド。ブラーはブリットポップ三部作が私の青春と重なるので聴いてきたのだけれど、最近のものは馴染めなかったのであまり聴いてこなかった。このアルバムも三部作ほど好きになれる予感はしないが、でも悪くない。

読んだのはJ・G・バラードの『J・G・バラード千年王国ユーザーズガイド』というエッセイ集だった。バラードはエッセイを書いても一流の批評家としての冴えを見せる。彼は車社会やゴミゴミした都市の風景の中に未来の姿を見ていた。SFは決して単なるエンタテイメントとしてだけ存在するジャンルなのではなく、私たちの生活を考えるために必要な試金石として存在する。奇抜なアイデアを作品にし続けてきたバラードの真摯に考察する姿勢、そしてその考察を独特のレトリックで言葉にする能力に頭が下がる思いがする。

今日は映画を観る気がしなかった。夜、ふと実家の段ボール箱の本の中から十河進『映画がなければ生きていけない 2016-2018』を見つけ読み始める。ひょんなことから私はこの十河進というコラムニストの存在を知り読み始めたのだけれど、常に著者が記す該博な映画と本とジャズの知識に唸らされる思いがした。著者はこの巻では還暦に差し掛かった自分の老いを語り、死を語る。その真摯な思索の姿勢が胸を打つ。その一方で乱歩賞に自作の小説を送り発表にやきもきする姿勢を隠さない俗っぽいところがこちらを微笑ませる。

本棚からは阿久津隆『読書の日記』という、1000ページくらいある本も出てきたので読み返してみようかなと思う。本ばかり読んでいてそれでいいのかなとも思うのだけれど、でも考えてみれば若い頃から自分は読書以外になにもしてこなかったように思う。暇つぶしで本を読む姿勢は変わらない。読書がなにかの役に立つ、ということは考えない。ただ、勘というか自分の中の声に導かれて読む。そうすると不思議とその読んだことが活きるような展開がどこかで訪れる。そんなミラクルに導かれて読み続けてきたように思う。これからもそうなのだろう。