朝、『THIS IS US 36歳、これから』を観る。いつもながら堅実に作られた渋いドラマだ。それぞれの人物が自分に課せられた試練を乗り越えようとしている、その誠実さが伝わってくる。演じている俳優たちも自分の役柄をどう捉えるべきか、自分なりに試行錯誤して解釈しようとしているのがわかる。その誠実さ故に、悪く言えば息苦しさを感じることもある。3枚目のお調子者っぽいトビーという男に惹かれる。彼が出てくるとそれだけでこのドラマが軽くなるように思われ、安心できる。この俳優、一体どういう人なのだろう。
図書館に行き、エリック・ホッファー『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』を借りる。そして読み始める。エリック・ホッファーという人物に興味を持ったのは最近のことだ。肉体労働で稼ぎながら自分なりに思考を練り上げた人ということで、教育制度とは無縁に勉強をしてきた人故の知性を感じる。私も――むろん、僭越とは思うが――見習いたいと思った。「慣れ親しむことは、生の刃先を鈍らせる。おそらくこの世界において永遠のよそ者であること、他の惑星からの訪問者であることが芸術家の証なのであろう」という言葉に襟を正す思いがする。
バーラ・ハルポヴァー&ヴィート・クルサーク『SNS-少女たちの10日間-』というドキュメンタリーを観た。私は、女性として生きたことはない。だからこの映画で語られる「少女たち」への男の側からの暴力的な性的欲求が彼女たちをどう傷つけるか、想像で補うしかない(グロテスクな男性器を見せつけられることが、彼女たちをどう傷つけるだろうか?)。実に興味深い映画だと思う。ただ、彼女たちが自分の受けた傷をもっと言葉で語ればと思ったのも確かだ。むろんそれがセカンドレイプになっては元も子もないのだけれど。
夜、断酒会に行く。ああ、今の会社で20年以上働いて、いずれはビッグになる、いずれは金持ちになる、いずれはこの会社を辞めて立派な男になる、と思って……結局なれなかった。思うことと言えば「早く死にたい、こんな人生を終わらせたい」とそればっかりだった。酒で死ねたら本望と思っていた。捨てる神あれば拾う神ありというが、そんな惨めな人生を送ってきた自分も40代を迎えてなかなか味わい深い人生を生きているように感じられる。これからどんな人生が待っているのかわからない。私はただ、フラフラと流されて生きていくだけだ。