ネットフリックスで、黒人差別問題についてコミカルな視点から切り込んで描写した『親愛なる白人様』を観始めた。今第2話まで観たのだけれど、実に辛口のドラマだ。ついつい私は黒人の文化に対してセクシーだとかクールだとか形容してしまうのだけれど、彼らの文化の背景にあるもの「も」観なければそうした文化の真髄がわかったことにはならないだろう。最近は聴く音楽もすっかりソウルIIソウルのようなR&Bやヒップホップが中心となってしまっている。もう一度『ムーンライト』のような映画を観直すのもいいかな、と思っている。
『THIS IS US』を観る。このドラマと付き合い始めて随分経つ。実にシビアな状況を描いたドラマだ。子育ての夢と現実。黒人として生きるという過酷さ。シットコム俳優が一皮剥けて本格派の俳優となるまで。減量に挑む女性の恋愛模様。どれも手堅い描写で語られるので気が抜けない。下手をすると息苦しくなってしまいそうなところを、ユーモラスな登場人物たちの会話で切り抜けているように感じられる。渋い、本格派のドラマだ。シーズン6で完結ということなのでまだまだ楽しめるようだが、果たして彼らはどんな未来を生きるのだろう。
昼下がり、スパイク・リー『ドゥ・ザ・ライト・シング』を観る。スパイク・リーの映画はこれで3本目。実にやりきれないドラマだ。黒人の写真がピザ屋の壁に飾られていないという理由から起こる暴動を、過剰/過敏だと笑うことができるだろうか。Twitterを観ていると、始終そうした暴動を起こすのと似た心理に触れる思いがする。群集心理というのだろうか。そうした「やつは敵だ。やっちまえ」という心理とは距離を置きたいと思っている。ニーチェ的に言えば、「鳩の歩み」のようなささやかな歩みが世界を変えると信じている。
断酒会に参加した。私自身の過去について話した。村上春樹の影響で、夏にビールを呑むのは爽やかな過ごし方だと考えていた。でも私はビールを呑んだくれていた頃、いつまでこの貧乏生活が続くのか、いつまでこの先の見えない鬱状態に苛まれるのかとフラストレーションを溜め込んでいた。ビールはだから私にとって終わらない暗黒時代の象徴のような飲み物なのだ。もうあんな暗黒時代に戻りたくない、と思っている。今がいい。そして、今やっていることはきっと未来に繋がる。希望はある……そんなことを考えた。